相場低迷でも仮想通貨市場に活気──主役は「仮想通貨ヘッジファンド」
ニューズウィーク日本版 / 2018年10月11日 18時0分
<金融市場の主役、機関投資家の参入を阻む規制も徐々になくなり市場の整備も進んで、巨額マネー流入の日も見えてきた?>
今年6月、ポリチェーン・キャピタルが仮想通貨ヘッジファンドとしては初めて運用資産10億ドルを突破し、メディアの話題を呼んだ。同ファンドの出資者には、アンドリーセン・ホロウィッツ、ユニオン・スクエア・ベンチャーズ、ファウンダーズ・ファンド、セコイア・キャピタルなど、錚々たるベンチャー・キャピタルが名を連ねる。
サンフランシスコに本社を置くポリチェーンは、仮想通貨市場への参入を狙う多くの伝統的金融機関の1つに過ぎない。仮想通貨価格の低迷をものともせず、仮想通貨で運用する専門ファンドが次々に誕生。新規の設立件数は年末までに昨年の記録を塗り替える勢いだ。
仮想通貨の代表格ビットコインは昨年、最高値の2万ドル前後から7000ドル足らずまで暴落した。だが、そのおかげでヘッジファンドは仮想通貨にますます関心をもったようだ。そもそも強気市場でも弱気市場でも稼ぎまくるのがヘッジファンドの身上。相場の変動は怖くない。昨年には史上最高の130社の仮想通貨ファンドが設立されたが、今年の設立は既に60社を超え、このペースで行けば記録更新はほぼ確実だ。
大手機関投資家の資金も流入
大手メディアや仮想通貨の素人は、相場の下落ばかりに注目し、いつ反転するか、はたまた反転はあり得るかと気を揉むが、彼らが気づかない間に仮想通貨の世界は様変わりしつつあり、先行きを楽観視できる材料に事欠かない。
まず、規制の暗雲が徐々に晴れて、投資家にとって見晴らしのよい環境になりつつあること。仮想通貨を禁止した国やどう扱うべきか決めかねている国も一部にはあるが、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカの多く国々はブロックチェーン技術の将来性を理解した。仮想通貨を金融商品として扱うことに難色を示してきたアメリカも、制度や環境の整備に取り組みだした。
これまで機関投資家の参入を阻んできたさまざまな障害も解決されつつある。
世界最大の仮想通貨取引所であるコインベースは今年、「カストディ業務」を開始した。これは投資家の代理人として有価証券を保管し、取引の決済、配当金や元利金の受け取り、議決権の行使などを行うサービスだ。預かり資産は既に200億ドル超に達し、年末までに大手機関投資家100社を顧客リストに加える計画だ。ほかにも数十社の仮想通貨ファンドが小口顧客や機関投資家向けのカストディ業務参入を検討しており、大量の資金流入が見込めるだろう。
-
-
- 1
- 2
-
この記事に関連するニュース
-
新型コロナで「4000%超」の収益を得た覇者の正体 「ブラック・スワン」を制した「カオスの帝王」
東洋経済オンライン / 2024年7月11日 11時0分
-
「もしトラ」トレード始まる~7月のビットコイン見通し~
トウシル / 2024年7月5日 7時30分
-
アングル:中国本土から香港への資金流出再燃、人民元に下げ圧力
ロイター / 2024年6月24日 13時8分
-
株式・債券に資金流入、金ファンドは流出超=BofA週間調査
ロイター / 2024年6月21日 18時15分
-
仮想通貨市場の時価総額は406兆円超えで8.27%上昇 仮想通貨投資家向け分析リポート配信サービス「TSUDOI」が2024年5月の業界動向を発表
@Press / 2024年6月18日 11時0分
ランキング
-
1韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月17日 15時55分
-
2血まみれで逃げる患者…「一線超えた」ウクライナの小児病院医師、露のミサイル攻撃を非難
産経ニュース / 2024年7月17日 15時32分
-
3ウクライナ侵略開始後、動員や弾圧避けるためロシアから65万人流出か…露独立系メディア集計
読売新聞 / 2024年7月17日 18時23分
-
4フィリピンで日本人4人拘束 日本から逮捕状 カンボジア拠点の詐欺グループか
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月17日 11時23分
-
5オマーンでシーア派モスク襲撃6人死亡、「イスラム国」が犯行声明
ロイター / 2024年7月17日 9時45分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)