オバマ、ソロス、CNNなどトランプ「政敵」に爆弾相次ぐ「暴力そそのかす大統領」の大罪
ニューズウィーク日本版 / 2018年10月25日 16時0分
たとえばトランプは最近、ツイッターや政治集会でソロス陰謀説を広めている。最高裁判事候補ブレット・キャバノーの指名承認をめぐり、議会でキャバノーによる性的襲撃の被害を訴えた女性たちにソロスがカネを払っていたとか、中米諸国からアメリカの国境を目指す移民キャラバンにソロスが資金を提供しているといった根も葉もない話だ。また移民キャラバンは中東出身者や犯罪者だらけと、そのウソは移民たち自身にも向けられている。
トランプ批判を行うCNNを目の敵にして、何かにつけて「フェイクニュース」のレッテルを貼るばかりか、政権寄りの一部メディアを除き、大半の報道機関を「国民の敵」呼ばわりしているのも知っての通りだ。
それでも、今のところ一連の事件がトランプと関連があるという情報は一切ない。
口先では団結を唱えるが
一連の爆弾騒ぎについては、トランプは情報当局のブリーフィングを受けたとして、「アメリカの人々の安全が私の最高にして絶対的な優先課題だ」と語った。
「こういう時は、われわれは一つにまとまり、この国では政治的暴力や脅迫は一切許されないと、一致団結して示さねばならない」
だがトランプがやってきたことはまるで逆だ。先週は、過去に英紙ガーディアンの記者に暴行を加えて有罪になったモンタナ州選出のグレッグ・ジアンフォルテ下院議員の選挙の応援に駆けつけ、ジアンフォルテが記者を地面にたたきのめしたことを英雄的な行為のように褒めちぎった。
今年8月には、キリスト教福音派の聖職者らとの私的な会合でのトランプの発言を収めた音声記録をニューヨーク・タイムズが入手した。そこでは、中間選挙で共和党が下院の多数議席を失ったら、あなた方は反ファシズムの左翼の「暴力」にさらされることになるから、選挙に全面的に協力してほしいと、聖職者に訴えていた。
支持者に暴力を教唆
トランプは2016年の大統領選中は、あからさまに暴力をそそのかすような発言を繰り返していた。
例えば2016年3月、ミズーリ州カンザスシティーで行われた集会では、自身の集会に抗議して演壇に上がろうとする人物がいたが、そんな人間は、「殴って正気にさせる」必要があると語った。ノースカロライナ州の集会でトランプ支持者が反トランプ派の78歳の老人にいきなりパンチをくらわせたときには、殴った支持者の裁判費用を払ってやれないか「スタッフに検討を命じた」。以前なら抗議デモの参加者は「手荒に」追い払われ、2度と来なくなったものだと言い、手荒な扱いが必要だと匂わせもした。
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