安倍首相はよく耐えた!
ニューズウィーク日本版 / 2018年10月27日 21時23分
大国だけではない。たとえばカザフスタンのナザルバエフ大統領に対しても、2017年05月14日の新華社報道をご覧いただきたい。
これが普通の儀礼である。
だというのに、安倍首相に対しては、何たる態度か!
安倍首相は、よくぞ耐えた!
どんな形であれ、日本が「一帯一路」に参画するのは反対だし、中国の戦略にまんまと嵌っていることに関しては警鐘を鳴らし続けるつもりだ。安倍首相はおそらくトランプ大統領とは連絡し合っているとは思うが、それでも日本の計算通りには絶対にいかないと危惧している。
しかし一方では、中国の中央テレビ局CCTVで、延々と流し続けた安倍首相の苦渋に満ちた表情を見ていると、「よく耐えたなぁ...」と感心せざるを得ない。
その映像を共有したいと思い、かなり時間をかけて探したが出て来ないので、やむを得ず文字で表現することにする。
CCTVは、苦渋に耐えながら習近平の高飛車な日中関係に関するお説教をひたすら聞いている安倍首相の表情をクロースアップし続けたし、世耕・経済産業大臣などは、苦渋というより「不快だ!」という思いが露わになっていた。眉をひそめた世耕大臣の顔に焦点を当てるCCTVのカメラのいやらしさ。他の日本側参加者も一様に不快感が出ているし、中国側から見れば「さあ、どうだ!参ったか!」という意思が明確に透けて見える。
北京における全ての行程を通して、安倍首相の嬉しそうな顔は、一度もなかった。
あれだけ前宣伝では、安倍首相を礼賛せんばかりに報道したCCTVは、今度はいきなり「苦渋の表情」へと貶める。
それは、日本から中国への「朝貢外交」なのだという印象を与えるのに十分な効果を発揮した。
巧妙な計算――なぜ習近平は26日午前に南部戦区の視察に行ったのか?
10月26日午前、習近平は南部戦区を視察して南シナ海を監視すべく、「いつでもすぐに戦えるように、指揮能力を高めよ!」と檄を飛ばした。
CCTVは、ニュースの順番として、まず習近平が南部戦区で南シナ海に対する戦闘準備のシミュレーションなどを視察する勇ましい姿と声を報道してから、安倍首相との対談の模様に入っている。
えっ?これは――!
ハッとしてネットに当たってみると、案の定、新華網が第一面のトップに習近平の南部戦区視察を大きく掲載して、その脇に安倍首相との会談を小さく載せるという、巧妙な手段に出ているのを発見した。
10月27日の新華毎日電訊の紙面のレイアウトをご覧いただきたい。
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