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「ブラジルのトランプ」極右候補が大統領に選ばれた理由

ニューズウィーク日本版 / 2018年10月29日 19時20分

「女性有権者に対してボルソナロが問題を抱える可能性があるのは明らかだった」と、フェイスブック上のボルソナロ支持のコンテンツを追跡調査したサンパウロ大学のマルシオ・モレト・リベイロ教授は英紙ガーディアンに語った。「(だが)ボルソナロとインターネット上のボルソナロ陣営はこれに手を打った。ボルソナロは女性の味方だがフェミニストには反対しているという風に表現を変えたのだ。危険な戦略だがそれが効を奏した」



ウッドロー・ウィルソン国際研究センター・ブラジル研究所のアンナ・プルザは、今回の選挙は「支持票ではなく不支持票」の選挙だったと語る。

「ブラジル国民は政府の失敗にいらだっていた」とプルザは言う。

ボルソナロは自分は汚職まみれの政界において「アウトサイダー」であり汚職とは無縁という印象を国民に植え付けることに成功した。

「これは『指導者ありき』の選挙だったように思える。有権者は政策を選ぶのではなく、自分たちの求める指導者に近い候補を探した」とジョタのムルタは言う。「まず候補者を選び、その後でその人の政策綱領を受け入れたわけだ」

ボルソナロは、既成勢力や制度・機関を激しく批判する選挙運動を展開した。ブラジル人が「民政移管以降、耳にしたことがないほど激しい体制批判だった」と語った。

「民主主義下で長年ずっと過ごしてきた国にとって、民主主義を脅かす直接かつ高いリスクに向き合うのは容易なことではないだろう」とムルタは言う。「だが報道機関や最高裁といった機関への攻撃は、『先にリーダーありき』型政治という文脈において懸念材料だ」

だがそのボルソナロも、法案を通すためには連立を組まざるを得ない。PTは、有権者の拒否反応にも関わらず、今もブラジル議会の多数を占める。極右大統領の権力をチェックできる立場にあるのだ。

ブラガは言う。「ボルソナロは好きと嫌いとにかかわらず、左派のブラジル社会民主党(PSDB)や中道のブラジル民主運動(MDB)、その他の中道右派や中道左派政党と組むことになる」

あとは、ブラジル国民がボルソナロに何を望むか、だ。

(翻訳:村井裕美)


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