仏領ニューカレドニアの差別と血に濡れた独立運動
ニューズウィーク日本版 / 2018年11月8日 18時10分
もともと植民地には、宗主国の人(およびそれにうまく取り入って支配層になる現地有力者)と一般先住民との間の差別構造がある。
新しい入植者は、この構造の中に入ってくる。よほどの事情がない限り支配層、アッパークラスになれるから来るのであって、先住民と同じように下層になるために来る人はいない。そして一度住みだせばそこが生活の場であり、必死で守り続けなければならない。
この構造を覆すのが「独立」である。だからそこに過大な希望が託される。
ヌメア合意では、3度の住民投票の実施で合意した。今回がその1回目で、今後地方政府が承認すれば20年に第2回、22年に第3回がそれぞれ行われる。
独立派の得票率は、事前調査では30%台だろうといわれていたが、43.6%だったので、次の住民投票では「独立だ!」と意気軒高である。もっとも、反対派の動きによっては実施されるかどうかもわからない。
フランスのマクロン大統領は、「すべての関係者の間の対話」を呼びかけたが、どうなるのか。
また武力闘争にならないことを祈るばかりである。
[執筆者]
広岡裕児
1954年、川崎市生まれ。大阪外国語大学フランス語科卒。パリ第三大学(ソルボンヌ・ヌーベル)留学後、フランス在住。フリージャーナリストおよびシンクタンクの一員として、パリ郊外の自治体プロジェクトをはじめ、さまざまな業務・研究報告・通訳・翻訳に携わる。代表作に『EU騒乱―テロと右傾化の次に来るもの』(新潮選書)、『エコノミストには絶対分からないEU危機』(文藝春秋社)、『皇族』(中央公論新社)他。
【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>
広岡裕児(在仏ジャーナリスト)
この記事に関連するニュース
-
「侵攻の引き金」を引いたウクライナの"失策" 対立の根底には2つの「ロシア人像」がある
東洋経済オンライン / 2024年6月25日 20時0分
-
ニューカレドニアで再び暴動、独立派指導者の身柄引き渡しに抗議
ロイター / 2024年6月24日 17時42分
-
27歳のアーティストに全責任を負わせてはいけない…炎上した「ミセスMV」が意図的にも見える3つのポイント
プレジデントオンライン / 2024年6月20日 6時15分
-
「放火魔消防士」との声も...解散ギャンブルに踏み切ったマクロンの真意とは?
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月19日 13時39分
-
欧米では「英雄」でも、南米では「屈辱の象徴」になる…ミセス「コロンブス」MVが示した日本人の危うい国際感覚
プレジデントオンライン / 2024年6月18日 17時15分
ランキング
-
1米副大統領候補のバンス氏、台湾へのパトリオット供与遅れを批判「ウクライナのせい」
産経ニュース / 2024年7月17日 14時38分
-
2トランプ氏は「神の手に守られた救世主」 暗殺未遂、個人崇拝に拍車
AFPBB News / 2024年7月17日 16時29分
-
3「将軍」最多25ノミネート=主演の真田広之さん候補―米エミー賞
時事通信 / 2024年7月18日 4時53分
-
4韓国でLINEユーザーが急増した理由 日本への反発?
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月17日 15時55分
-
5ウクライナ侵略開始後、動員や弾圧避けるためロシアから65万人流出か…露独立系メディア集計
読売新聞 / 2024年7月17日 18時23分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)