データで見る「ニッポンの独身者は誰と暮らしているのか」-「結婚のメリットがわからない」独身者の世帯(居場所)のカタチとは-
ニューズウィーク日本版 / 2018年11月9日 13時30分
1|「長期子どもポジション・キープ」というメリット
筆者がこの分析結果から感じるのは「これでは初老になるまでパートナーを持つメリットなど感じられないのではないか」ということである。
先にも述べたが、1人世帯よりも2人世帯の方が生活にかかるコストは一般的には約7割に減少する。これがパートナーを持つ大きなメリットの1つともいえる。
しかし両親と3人世帯であれば1人当たりコストは6割にまで減少する。祖父母も住んでいるのであれば、5人世帯でコストが5割を切る。親や祖父母にも当然この同居メリットはある。
つまり身内から若い男女が離れられない根拠の1つはこの同居メリットであるともいえる。
経済的にリーズナブルな上に、例えば長年親しんだ習慣から離れなくてもよいというメリットが付加される。
特に長年子どもとして暮らしてきた立場から「加齢していても子どもポジションとしての居場所をキープ」することさえも容易であろう。これは結婚のメリットでは得がたいメリットでもあるだろう。
親との同居メリットとして、例えば
料理や掃除や洗濯は母親/近所付き合いも母親/不動産コストゼロ/父親の車がタクシー代わり
となってくると、もはや子どもポジションにある人間の思考が「親を超える大金持ちとの結婚以外、メリットなし」となっても致し方ないだろう。
2|45歳以上:「老後1人で生活することへの不安」で結婚希望再燃
かつて、農村社会が主流であった時代には大規模家族経営のメリットとして、とにかく親族同居が最適であったかもしれない。
しかし、第2次・第3次産業従事者が大半を占めるようになった中で、このような親族密着型の家族のあり方の維持は、愛する息子・娘の経済的自立や責任感の醸成、新たな家庭形成への一歩という自立心を奪いかねないことは考えておきたいところである。
明治安田生活福祉研究所の2017年の「35~54歳の結婚意識に関する調査」では「一生独身でいることを決意・覚悟した理由」については、男性の4割、女性の3割が「結婚に向いていない」であった。
そして、45歳以上で「やっぱり結婚したいと思うようになった理由」については、男性の4割、女性の5割が「老後1人で生活することへの不安」と回答している。
本レポートの分析では、50代以降、おそらく親の病気や他界などによって「20代から続いていた独身男女とその親との同居が解消」されることによる、「中高年からの非自発的なひとり暮らし」が急増している。
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