1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

「パパ活」という言葉はマーケティング会議の中で生まれた

ニューズウィーク日本版 / 2018年11月20日 12時0分

「ピュアな女性の層」「男性からサポートを受けて、夢を叶えていく」といったフレーズはやはり虚しく聞こえるが、しかし戦略的に仕組まれてきたことは事実で、そこは面白いと感じた。そして、それが利用者のニーズと合致しているのだから、「ビジネスとしては」成功しているのだろう。

なお著者は、パパ活の行われている交際クラブの世界は「自由恋愛の最果ての地」だと表現している。



 精神的に自立している(とされている)男女が、あらゆる制度や規範の縛りから自由になり、金銭のみを介して、いつでも・どこでも・誰でも・どのようにでも、自由に関係性を結ぶことができる。国境や国籍を越えた関係だけでなく、世間ではタブーとされている複数の相手との同時交際、既婚者との交際(不倫)も、ここでは当たり前のように行われている。求められるルールは「一人の自立した人間として、相手に何ができるかを考えること」のみ。二人の関係性をどのようにデザインするかは、あくまで当事者次第だ。(220ページより)

だが「二人の関係性をデザイン」などというとおしゃれな感じもするが、「金銭のみを介して」いる以上、それはデザインとして成立するのだろうか? しかも、著者も指摘しているように、パパ活の成功法則=「一人の自立した人間として、相手に何ができるかを考えること」は、恋愛や結婚の成功法則と同じだ。

つまり極論をいえば、恋愛や結婚も(金銭を介さないだけで)パパ活と同じようなものということになってしまい、そこには大きな矛盾が生まれる。だから結局のところ、本書を読み終えても私にはパパ活の概念は理解できなかったのだ。


『パパ活の社会学――援助交際、愛人契約と何が違う?』
坂爪真吾 著
光文社新書


[筆者]
印南敦史
1962年生まれ。東京都出身。作家、書評家。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。現在は他に「ライフハッカー[日本版]」「東洋経済オンライン」「WEBRONZA」「サライ.jp」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」などにも寄稿。新刊『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)をはじめ、ベストセラーとなった『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)など著作多数。




印南敦史(作家、書評家)


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください