「生産性」の杉田水脈議員に見て欲しい、「普通とは違う」親子の愛の絆
ニューズウィーク日本版 / 2018年11月20日 16時10分
ミニシリーズ的なものか、長編劇場用映画か、どちらにするのがいいのかと話し合ったが、私は後者がいいと思った。それぞれの家族の物語は全く違うものだが、お互いに関連し合うものでもあるので、観客がそれを一度に経験できるほうがいいと考えたから。
本で中心的に描かれているテーマが3つある。まず、「違う」とはどういうことなのかということ。それが外見でも、内面でも、人と違うのはつらい経験なのではないかと世間は思い込みがちだが、そうではなくて、実は誇りにつながるもの、喜びの源となるものだ。2つめは、自分が思っていたのとはまったく違う子供を持ったときの、過激なほど強い親の愛情。親は最初恐れを感じるかもしれないが、最終的には人間として成長していく。
3つめは、70年代のアメリカでゲイとして育ったアンドリューの経験。当時はゲイであるのは病気だ、治療すべきものだと思われていた。それが数十年たった今では、むしろアイデンティティーとして祝福されるべきもの、誇りの源である見られるようになった。
彼の原作は――映画もそうだと思うが――こう問題提起をしている。「病気」と「アイデンティティー」を分ける線は、とても細いのではないか? 同性愛者についての見方が数十年でここまで変わったのだから、自閉症や低身長症、ダウン症などの人々に対する社会の見方もいずれ変わるのではないか。今は憐憫が強いかもしれないが、もっと肯定的なもの、アイデンティティーとして祝福されるものになるのではないか。
――出演している家族はどのように選んだのか。
原作の執筆には10年かかっていて、そこに登場する家族の多くはある種、物語的には解決をみてしまっている。だから、映画に登場してくれる家族は新たに探すというのが、最初の大事な選択だった。今まさに展開している事態をカメラで追いかけたいという思いがあったからだ。
映画に登場する低身長症の人々のための「リトル・ピープル・オブ・アメリカ」のような団体や組織を通して、出演者を探した。たくさんの人に会える会議などにプロデューサーとともに足を運び、そこでさまざまな家族と話をして、興味をそそられた人たちとはもっと話をする、ということを繰り返した。たぶん100家族以上と会ったと思う。
最終的に5、6家族に絞ったが、撮影をオファーし、カメラを回し始める前に彼らとは何度も何度も話をしている。
――殺人を犯した子供の家族も登場する。彼らとの出演交渉は特に難しかったのでは?
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