東京五輪を狙う中国サイバー攻撃、驚愕の実態を暴く
ニューズウィーク日本版 / 2018年11月29日 16時40分
アメリカも指をくわえて見ていただけではない。2014年には、アメリカに対するサイバー攻撃に関与したとして、人民解放軍のサイバー部隊員5人を起訴。2017年にも3人の訴追を発表している。今年10月にも10人の中国人をハッキングなどで起訴したばかりだ。
中国のサイバー攻撃はこれまで、主に人民解放軍総参謀部の第3部(3PLA)と第4部(4PLA)が担ってきた。3PLAの中には12局あり、対象国などによって振り分けられている。
例えば、日本と韓国を担当するのは山東省青島市に拠点を置く第3部4局だ。ただ中国にとっての最重要部隊は、アメリカをはじめ北米地域を攻撃する第3部2局で、この集団は別名「61398部隊」としても知られている。2014年に起訴された5人は、この部隊に属していた。ちなみに4PLAは、電子戦闘を担当する。
中国では、2015年からサイバー分野で組織の再編が始まった。政府は人民解放軍戦略支援部隊(SSF)を創設し、サイバースパイ工作からプロパガンダ、破壊工作まで、中国のサイバー戦略を包括的に取りまとめることになったとみられている。
SSFの中でもサイバー攻撃に特化している組織は、Cyber Corps(サイバーコー=サイバー軍団)と呼ばれ、PLAも組み込まれているという。情報通信安全局の簡は、「中国のサイバー軍団は今、アメリカのサイバー軍よりも大きくなっている。しかも年々、攻撃能力を高めている」と語る。その規模は、軍のサイバー兵士が7万人ほどで、民間から協力しているハッカーたちは15万人ほどになる。
内政部警政署でサイバー捜査員を務めた人物によれば、中国政府系ハッカーの攻撃パターンを分析すると「非常に組織化されていることが特徴的で、まるで一般企業に勤めているかのように動いている」。潤沢な予算があるため、それぞれがデスクなどを与えられ、決められた「勤務時間」で働いていると分析されており、「ハッカーたちはちゃんと休暇も取っているらしい」と笑う。
中国では、こうした大きな組織が明確な目的を持ってサイバー攻撃を繰り広げているのだ。
知識ゼロの大臣で大丈夫か
そして今、東京五輪を2年後に控えた日本が、中国政府系ハッカーによる攻撃の標的になっている。サイファーマのリテッシュは、「日本は五輪までにこれまでとは違うレベルのサイバー攻撃にさらされる可能性が高い」と言う。五輪関連組織やスポンサー企業などを中心にさまざまなサイバー攻撃が仕掛けられると警鐘を鳴らしている。
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