イエメン内戦ついに終結?
ニューズウィーク日本版 / 2018年12月4日 19時30分
<反政府勢力ホーシー派を支援してきたイランが和平協議を受け入れ、カショギ殺害事件で怒った米議会もサウジアラビアへの支援を停止しようとしている。「史上最悪の人道危機」は遂に収拾に向かうか?>
米議会でイエメン内戦に介入するサウジアラビアへの軍事支援を停止しようという気運が高まるなか、イランがスウェーデンで開かれる予定の国連主導のイエメン和平協議に支持を表明した。
イランのジャバド・ザリフ外相は12月3日、「イラン外務省はこのイニシアチブを歓迎し、対話を支援する。またイエメンの全ての当事者に対し責任を持って対話に参加するよう呼びかける」とツイートした。2015年から続いているイエメンの内戦において、イランはシーア派の反政府武装勢力ホーシー派を支援してきた。
また「現在の危機を脱するにはイエメンの当事者間の話し合いに基づく政治的解決以外に方法はない」と強調。「4年に及ぶ内戦を経ても、戦いを仕掛けた者たちはその目標を達成することができず、経済・インフラの崩壊や大勢の一般市民の死を招き、イエメンに人道危機を引き起こしただけだ」と指摘し、イエメンの和平プロセス促進において国際社会が重要な役割を果たすべきだと呼びかけた。
米議会で高まる「イエメン撤退」の声
ホーシー派は2014年9月に首都サヌアを制圧し、翌2015年1月にアブドラボ・マンスール・ハディ大統領を追放した。ホーシー派をイランの代理勢力と見なすサウジアラビアは、アメリカの支援のもと連合軍を結成し、2015年3月からイエメン政府軍に代わってホーシー派に対する空爆を開始した。
それから3年半に及ぶ内戦は1万人以上の死者を出しながらも、紛争はいまだこう着状態。首都サヌアは依然としてホーシー派の勢力下にある。
サウジアラビア主導の連合軍に対しては長年、戦争犯罪の疑いを指摘する声があった。だがアメリカで同国への軍事支援の再考または停止を求める声が高まったのは、ジャーナリストのジャマル・カショギが10月にイスタンブールのサウジアラビア総領事館で殺害された事件の後だ。
カショギ殺害事件については、CIAが極秘資料で「サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子の命令によるものだ」との結論に至ったと報じられているが、サウジアラビア政府とドナルド・トランプ米政権はこの説を否定している。サウジアラビアの事実上の支配者であるムハンマド皇太子は国防相でもあり、イエメン内戦をめぐる政策も担っている。
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