誕生から10年、G20の存在意義はどこにある?
ニューズウィーク日本版 / 2018年12月5日 17時20分
政治的分野での地位も変化してきている。欧米先進国はアジアの新興国から、財政規律を守っていないと批判されている。一方で、G20におけるブラジルやインドネシアの発言力が強まった結果、IMFもグローバルな資金の流れの管理には新興国市場も加わる必要があると認識するようになった。
今後の問題は、パキスタンやナイジェリア、バングラデシュのような人口大国をいつまで排除していられるかだ。欧州諸国がEUに一本化される可能性を別にして、その他の国がG20を抜ける可能性は低い。だからメンバー国は今後、もっと増えるだろう。そしてG20がG25やG30に増えれば、それだけグローバルな組織としての正統性は(国連創設当時のような「世界国家」の理想に近づくことはないとしても)高まる。
だが21世紀の現実を見れば、国連のような国際機関は旧体制の遺物ともいえる。14億もの人口を擁し、急速な経済成長を続けるインドや中国を、アイルランドやウズベキスタンなどの小国と対等に扱う仕組みはあまりに現実離れしている。
対してG20は、参加資格に一定の線引きをする一方、多極化する世界における力関係の変化にも対応できる。今は国のサイズがものをいう。だからこそ人口と経済力を基準とするG20の枠組みは今後も有効なのだ。
From Foreign Policy Magazine
<本誌2018年12月04日号掲載>
※12月4日号(11月27日発売)は「インターネットを超えるブロックチェーン」特集。ビットコインを生んだブロックチェーン技術は、仮想通貨だけにとどまるものではない。大企業や各国政府も採用を始め、データ記録方法の大革命が始まっているが、一体どんな影響を世界にもたらすのか。革新的技術の「これまで」と「これから」に迫った。
アダム・トゥーズ(コロンビア大学歴史学教授)
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