中国の世界制覇を阻止するために日本がやるべきこと――Huawei事件を巡って
ニューズウィーク日本版 / 2018年12月14日 15時0分
スパイ行為などをしている企業であるならば、いくら民営でも、中国国内の若者たちも、さすがに離れていくだろう。スパイ行為がライバルを追い落とすためのビジネス上のことでなく、それを中国政府に渡すようなことをしているのであるなら、中国の若者も、必ず華為から離れていく。
となれば華為の経営は傾くので、その頭脳であるハイシリコンが生産した半導体を、中国政府系列に販売するしか道は無くなるだろう。中国政府が直接投資している国有企業は、どんなに投資しても利益を大きく上げてはいないから、華為もそこそこの企業に成り果てるにちがいない。このケースの場合は、「中国製造2025」は達成できなくなる。
しかし確たる証拠なしに、デマ情報に基づいて行動すれば、中国の若者はさらに熱狂的に華為を支持し、習近平は「中国製造2025」を成し遂げることに成功してしまう。但しこの場合は、華為とZTEの30年戦争を解決するために、華為がZTEを吸収合併する以外に選択肢はないだろう。
アメリカも中途半端だ
アメリカが華為の孟晩舟を逮捕させたのは、たかだか「イランとの交易をしていたことに関して嘘の供述をした」ということではないか。嘘の供述なら、トランプ大統領も数多くしているとアメリカでは指摘されているし、中国はアメリカによる独自のイラン制裁を認めてはいない。国連でイラン核合意が決議されたのに、トランプ政権が勝手に離脱したのだから、トランプ政権の方が国際ルールを逸脱していると中国は非難している。「我が家のルール」を「他人の家に強制するな」というのが、中国の言い分だ。
このような、言い逃れができる理由で逮捕したりせずに、情報を抜き取っているという証拠があるなら、それを直接突き付けるべきで、追い込むなら徹底して追い込まなければならない。アメリカは中途半端な逮捕や妥協をせずに、引き渡しを要求して司法において「情報抜き取りなどのスパイ行為があったか否か」を明らかにし、あったとすれば、それを公けにしなければならない。そうすれば中国は「中国製造2025」の達成が困難になる。
中国にエールを送っている安倍政権
こんな中国に「協力を強化する」と誓ったのは安倍首相だ。それが、どれだけ中国を利するかを考えるべきだろう。安倍政権は困窮した習近平に救いの手を差し伸べ、中国の世界制覇という野望の実現を、より可能にさせているのである。
日本政府の与党関係者が華為のスマホを分解したところ、「ハードウェアに"余計なもの"が見つかった」と言っている。本当なら、一刻も早く、その「余計なもの」が何であるかを公表すべきではないだろうか。簡単なはずだ。
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