【地球温暖化時計】「1.5度」までのカウントダウン
ニューズウィーク日本版 / 2018年12月17日 18時30分
2016年までの3年間、CO2排出量は横ばいだった。排出量が増えなければ、1.5度の壁を越える日は1年遠ざかる。
だが2017年は排出量が増え、1.5度越えの日は4カ月分近づいた。今年の排出量は2.7%の増加が見込まれている。これは2011年以降最大の増加で、1.5度越えの日はさらに8カ月近づく計算だ。
今年のデータ更新では、IPCCの特別報告書の「カーボンバジェット」に関する新たな推計値も計算に取り入れた。これは1.5度の壁を越えるまでの間に認められるCO2排出量の総量で、今回、7700億トンと上方修正された。つまり1.5度越えは2年以上先になる計算だ。これを今年のCO2排出量の増加の影響と相殺すると2034年末という日が弾き出される。
温暖化時計はこんな問いの答えにもなる。「現在の排出量のペースと人間由来の温暖化の水準、そして過去5年間の排出量の流れが今後も続くと想定した場合、カーボンバジェットを使い切るまでにどのくらいかかるのか?」
1870年以降現在までに人間の活動が生み出してきたCO2の総量は2兆3000億トン近い。これは化石燃料の燃焼と森林伐採の結果だ。CO2以外の温暖化ガス排出もあって、すでに地球の平均気温は1850~1900年の平均と比べ1.06度上昇している。過去5年間、年間CO2排出量は平均4億トン増えており、今年は371億トンに達すると見られている。
Global fossil fuel CO2 emissions, including projected 2018 emissions from the Global Carbon Project.
温暖化時計を作成するにあたり、われわれはこの5年間の化石燃料由来のCO2排出の増加ペースが今後も続き、森林伐採や土地利用の変化によるCO2排出は最近の5年間の平均(年53億トン)を維持すると仮定した。またIPCCのカーボンバジェットの推計を使うことで、今から1.5度の壁を越えるまでの温暖化のうち、メタンや一酸化二窒素といったCO2以外の温室効果ガスが原因となるのは約25%と仮定した。
1.5度越えまでの時間はCO2排出が気候に与える影響に関わる不確定要素に左右されるが、それでもわれわれの推計は最良のものだ。つまり温暖化時計が示す日付よりも早く1.5度の壁を越える確率は50%で、同様にそれより先である可能性も50%ということだ。
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