Huaweiの任正非とアリババの馬雲の運命:中共一党支配下で生き残る術は?
ニューズウィーク日本版 / 2019年1月21日 8時0分
拙著『中国動漫新人類 日本の漫画とアニメが中国を動かす』(2008年)で詳述したように、1980年以降生まれの若者、いわゆる「80后(バーリンホウ)」で日本のアニメや漫画を見ずに育った者はいないと言っていいほど、日本の動漫(アニメと漫画)が中国を席巻していた。中国政府は中国の青少年が「民主や自由」といった日本の精神文化に染まることを恐れ、同じく国家新聞出版総署を使って日本のアニメの放映時間を制限した。
そんな中、ゲームに関してだけは中国産の作品が非常に栄えており、若者たちはテンセント・ワールドに夢中になったものだ。
中国製ならいいではないかと思うだろうが、テンセントは民間企業だ。民間企業が国有企業よりも歓迎されて繁昌すること自体が問題なのである。
今般、テンセントはおとなしく中国政府の規制に従い、販売停止を受け入れた。だからテンセントの馬化騰は100人リストに残って表彰された。
さて、問題はHuaweiの任正非だ。
習近平は「俺の言うことを聞いてハイシリコン社の半導体チップを外販し、中国政府に開放しろ」と迫っているが、任正非は応じていない。
そこで習近平はHuaweiの孟晩舟CFOがアメリカの要求によりカナダで逮捕されたのを「チャンス!」とばかりに受け止めて、Huaweiのために「中国政府として」カナダやアメリカに抗議している。こうすれば、いくらHuaweiでも、中国政府の軍門に下るだろうと計算しているのである。
昨年12月12日のコラム<華為Huaweiを米国に売ったのはZTEか?――中国ハイテク「30年内紛」>で、もしかしたら、孟晩舟をアメリカに売ったのは、Huaweiを苛め抜いてきた国有企業ZTEではないかと書いたが、これはかなりの現実性を持っていることになる。
これを機会に、習近平は任正非をねじ伏せて、屈服させようとしている。民間企業が国有企業を凌ぐということは、一党支配体制ではあってはならないし、習近平にとっては非常に怖い。人民の方が強いことになるからだ。それは一党支配体制を脅かす。習近平が最も恐れているのは人民の声なのだから。
しかしHuaweiは「中国製造2025」の半導体領域におけるトップランナーだ。これを潰すわけにはいかない。それでもハイシリコン社製の半導体チップを外販させ、国有企業の方が優勢である状況を創りたいと、習近平は思っている。
その意味でアメリカのHuawei叩きは、習近平に絶好のチャンスを与えたということができる。
この記事に関連するニュース
-
中国共産党の3中総会、米欧とは異なる「中国式現代化」推進に向け目標を設定し閉幕
読売新聞 / 2024年7月19日 0時24分
-
CGTN:中国にとって改革の深化がなぜ重要なのか?
共同通信PRワイヤー / 2024年7月18日 11時3分
-
中国は米国を抜いて世界一の経済大国になれるのか―独メディア
Record China / 2024年7月16日 5時0分
-
公務員試験の倍率は驚異の3572倍…「学生の2人に1人が無職」の中国で共産党加入者が殺到する深刻な理由
プレジデントオンライン / 2024年7月15日 8時15分
-
失業した若者が階段や公園で行き倒れている…不動産バブルがはじけた中国の「ゾンビ経済」の実態
プレジデントオンライン / 2024年7月5日 8時15分
ランキング
-
1百貨店で大規模火災 16人死亡 中国・四川省
日テレNEWS NNN / 2024年7月18日 10時25分
-
2焦点:戦争は「素人大統領」をどう変えたか、苦悩増すゼレンスキー氏
ロイター / 2024年7月18日 17時28分
-
3北朝鮮の地雷埋設、作業ミスで爆発事故多数、韓国側は脱北者の増加と雨による地雷流出を警戒
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月18日 16時37分
-
4トランプ氏は「神の手に守られた救世主」 暗殺未遂、個人崇拝に拍車
AFPBB News / 2024年7月17日 16時29分
-
5米「軍拡リスクを高める」 中国の軍備高官協議停止を非難
産経ニュース / 2024年7月18日 16時1分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください