Huaweiめぐり英中接近か──背後には華人富豪・李嘉誠
ニューズウィーク日本版 / 2019年2月22日 12時30分
また昨年12月30日付のコラム「Huawei総裁はなぜ100人リストから排除されたのか?」で書いたように、改革開放40周年記念大会において、この40年間に中国の経済発展に寄与した民間企業の経営者など100人をリストアップして表彰したのだが、民間企業として最も功績が高いはずのHuaweiは、表彰される100人のリストには入っていなかった。
このように、おそらく「中国政府とのつながりが最も薄い唯一の民間大企業」であるHuaweiだけを取り上げて、「情報を盗んで中国政府に提供している」と強弁することには無理がある。アメリカがHuaweiを攻撃するのは、その頭脳であるハイシリコンという半導体メーカーがあまりに優秀で、アメリカの半導体大手のクァルコムを抜くのではないかと警戒しているからだ。
世界は次世代スマホ5Gネットワークシステムをどの国のどの企業が獲得するかで争っているが、その有力な規格候補として残っているのはHuaweiとクァルコムで、しかも通信速度や価格において、必ずしもクァルコムが有利ともいえない。
そのHuaweiをやっつけたい気持ちは分かるが、中国政府と癒着しているとして攻撃するには、少々相手が違うのではないだろうか。
中国政府がHuaweiを認め始めた
これまで中国政府は、Huaweiだけを、表彰する対象や中国政府と情報を共有する企業から外してきた。
ところが李嘉誠がHuawei側に付いたのを知った中国政府は、これも慌てて1月8日に授与した「2018年国家科学技術進歩賞」123項目の中の一つにHuaweiを入れた。たかだか123項目の中の一つではあっても、中国政府がHuaweiを肯定し表彰するのは実に珍しい。
これに対してネットでは、「なんと言っても自分の国家に初めて認められたのだから、これ以上の喜びごと(めでたいこと)はないだろう」という趣旨の論考が春節を前に現れたほどだ。
李嘉誠がHuaweiの味方に付いたので、イギリスも慌てれば中国政府も慌ててヨーロッパに力を入れ始めた。ヨーロッパが趨勢を決める分岐点だという論評が中国共産党系メディアから出ている。そしてトランプの言動が米欧関係を崩し、トランプの対中制裁によって日本が経済復興のチャンスとばかりに中国にすり寄っているという分析まで見られる。日本にしてもヨーロッパにしても、アメリカとの同盟関係に中国が楔を打つことができる状況を、アメリカ自身が作っていったという見解が多い。
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