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空から実用化が進む世界の無人兵器事情:ボーイングやカラシニコフも

ニューズウィーク日本版 / 2019年3月7日 18時20分

カラシニコフ社の自爆ドローン

ロシア製無人戦車は散々なデビュー

着々と進む航空戦力の無人化に対して、陸はまだまだだ。ロシアは、無人戦車「ウラン-9」を昨年5月にシリア派遣軍に配備したが、その後のデビュー戦は散々だったと伝えられている。「ウラン-9」は30mm機関砲・機関銃・ミサイル・火炎放射器を備えた複合戦車で、後方のオペレーターの操縦で前線の兵士を援護する。

ロシアの無人戦車「ウラン-9」

国内での運用試験では成功が伝えられていたものの、実戦は全く勝手が違ったようだ。まず、安定して通信できる距離が想定よりもだいぶ短かった。『ポピュラー・メカニクス』のレポートによれば、せいぜい基地から1,000〜1,500フィート(約300〜480メートル)の範囲内でしかまともに操縦できず、約1分間通信が途絶えたのが17回から19回、1時間半にわたって操縦不能に陥ったことも2度あったと伝えられている。市街戦に使用したところ、建物によって電波が遮断されたのが原因らしい。

武装のリモコンシステムもトラブルに見舞われた。30mm機関砲の発射に際して、6回タイムラグが生じ、完全な不発も1回あった。また、移動しながらでも火器を正確に発射できるという触れ込みだったが、実際は火器管制装置が移動中に安定せず、いったん停止してからでないと発射できなかった。索敵能力も、謳っていたスペックの3分の1以下しか発揮できなかったようだ。シャーシとサスペンションの機械的なトラブルにも見舞われた。

『ポピュラー・メカニクス』は、「ウラン-9」のデビューを「シリアでの経験により、システムの深刻な問題が明らかになった」と結論づけている。ともあれ、無人戦車が実戦デビューしたのは事実だ。海では、無人潜水艦などの研究が進んでいる。もちろん、究極的には戦争そのものを無くすことを目指すべきだ。目の前の現実は、その前段なのか、逆に向かっているのか。ロボットが人を殺し、ロボットがロボットを破壊するSFの発想は、もはや絵空事ではなくなっている。




内村コースケ


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