米中5G戦争ファーウェイの逆襲 米政府提訴「成功する可能性ある」
ニューズウィーク日本版 / 2019年3月19日 6時50分
「(5Gの)マーケティングでアメリカは後れを取っている。誰であれ、この競争に勝った者が世界の独占的なプレーヤーとなる。『安くて信頼できて、裏でどこかとつながっていない』という中国のメッセージはとても魅惑的だ」
ファーウェイ批判の本当の目的
ただしジョーンズは、同盟国の選択は明らかだろうとも語っている。「安くて魅力的だが、個人情報や知的財産、機密情報が全て北京に筒抜けになる極めて脆弱なシステムか、投資の金額を少し引き上げて安全な社会を手に入れるかだ」
こうした主張に対し、ファーウェイも反撃に打って出た。「5Gのマーケティングでアメリカがファーウェイに後れを取っているというジョーンズの指摘は正しい」と、同社の広報担当者は言う。「だがマーケティングだけではない。5G関連技術とその配備についても、アメリカ企業はファーウェイやその他の世界より遅れている」
副会長の郭は英フィナンシャル・タイムズ紙への寄稿で踏み込んだ発言をしている。アメリカが5Gの独占を狙うのは、米企業との「パートナーシップ」を通して世界中の通信を盗聴しているNSAが今後もそうした行為を継続しやすくするためだとした。
その上で、ファーウェイが採用されている170カ国ではNSAへの協力はあり得ないと指摘。「世界の通信ネットワークにおいてファーウェイ製品が増えるほど、NSAが国際通信を盗聴するのは難しくなる」
郭はファーウェイを安全保障上の脅威と主張するアメリカの印象操作について、5G競争の勝者が手に入れる経済的恩恵を中国に奪われたくないという思惑も挙げている。5G開発での遅れを米政府が認識している以上、ファーウェイたたきは「安全保障には無関係であり、急成長する競合相手を抑え付けたいというアメリカの欲望が全てだ」。
法律家の間では、トランプ政権を提訴したファーウェイの試みが成功する可能性があるとの声もある。米政府は同社が中国政府のスパイ行為に協力していたことを示す決定的証拠を提示できていないためだ。だが一方で5G関連製品の採択を決めるのは議会であり、訴訟の行方とは無関係との指摘もある。
それでも1つだけ確かなことがある。それは、5Gの支配権をめぐる争いが今後数カ月にわたって一段とヒートアップするということだ。
【関連記事】5G戦争:ファーウェイ追放で得をするのは誰か?
<2019年3月26日号掲載>
※この記事は本誌「5Gの世界」特集より。詳しくは本誌をご覧ください。
ジョナサン・ブローダー(外交・安全保障担当)
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