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イスラム恐怖症は過激なステージへ NZモスク襲撃で問われる移民社会と国家の品格

ニューズウィーク日本版 / 2019年3月29日 17時0分

また日本の学校や家庭などではあまり議論されていないように思うが、今回のモスク襲撃は「国と自分の関係、またその絆ってなんだろう」と改めて問う出来事にもなった。

どうすれば「移民」ではなくなるのか

ここ数年、「移民」または「難民」という言葉がメディア、政治、経済および文化における議論の多くの部分を占めてきた、そしてこれからも最も重要なトピックの1つであり続けることは疑いない。日本を含む世界のさまざまな国で、政治家だけでなく一般の人々も関心を強めていくだろう。

移民とは「通常の居住地以外の国に移動し、12カ月以上のその国に滞在する人」だという。これは、1997年に当時の国連事務総長が国連統計委員会に提案した定義だ。一方、各国政府が採用している定義はバラバラのようだ。移民に関する正確な情報の把握は困難だが、2015年時点でおおよそ2億4400万人とされている。

では、「移民」を卒業するためにはどんな条件が必要なのか。どのぐらいの年月が経てば「移民」ではなくなり、自国民になれるのか。それとも、永遠に移民のままで生きていかなければならないのか。例えば、国籍を取れば移民ではなくなるのか? それとも、国籍の取得には何の意味も関係もないのか。世界の移民事情を見ると、「~系~人」が主流のようだが、これはつまり国籍取得や帰化をしようが、「移民は移民」ということなのだろうか。

私はあるとき、「どうですか皆さん、私は移民の範疇に入るでしょうか」と学生たちに尋ねてみた。「移民ではないと思います」「外国籍なので移民になりますね」と彼らは迷いながらも必死に考えて、いろいろな答えをしてくれた。さらに「私は帰化しているが、それでも移民になりますか。それとも日本人になりますか」と答えを迫ると、「日本人ではない。国籍取得や帰化をしても」「法律的に日本人になるが、やはり日本人ではない」などと、外国人が帰化しても日本人にはなれないと考える学生が圧倒的に多かった。



ある専門家によれば、昔の移民は一生懸命努力して移住先の社会に適応しようとしたが、今の移民は自分たちの文化を持ち込んで、孤立しながらもそれを守ろうとする傾向が強いという。

私はここで、日本社会は人種差別的な社会、または他者を排除する社会だと言いたいのではない。ただ、我(われ)を知るためには、他者を理解しなければならない。つまり他文化への正しい理解を通して、自文化を再認識する必要があるということを強調したいのだ。

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