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マクロン大統領も対中ダブルスタンダード

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月1日 13時0分



こうして、中国が原爆実験に成功した1964年にフランスは中国と国交を樹立した(この詳細は『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』のp.126~p.133に書いた)。

したがってフランスは中国のハイテク産業発展に関して否定的でなく、マクロン大統領自らが、「中国製造2025」イニシアチブと積極的に発言している。何とかして「中国製造2025」を阻止したいトランプ大統領とは鮮明なるコントラストを呈している。

2.五四運動があった1919年前後に、働きながらフランスに留学する「勤工倹学」というプログラムが始まっている。周恩来も鄧小平も若い頃に、この「勤工倹学」制度を利用してフランスに留学した経験を持つ。その黎明期に奔走した毛沢東は、学歴が足りなかったが故にフランス留学の夢を捨てることになった。友人のために奔走しながら自らは諦めて故郷の湖南省に戻ったなどしたこともあり、毛沢東が知識人を嫌い迫害した原因の一つにもなっている。習近平国家主席がマクロン大統領に言った「留学生派遣100周年記念」とは、この「勤工倹学」制度100周年記念を指す。

ちなみに「勤工倹学運動100周年記念式典」が今年3月23日にパリで催され、ジャン=ピエール・ラファラン元首相も主席した。3月29日には北京で、欧米(中国語で米は美)同学会が「勤工倹学運動100周年記念座談会」を開催している。

なお、毛沢東と「勤工倹学」との闘いに関しては、『毛沢東 日本軍と共謀した男』で詳述した。

3.「一帯一路の第三国協力モデル」とは、3月11日付のコラム<全人代「日本の一帯一路協力」で欧州への5G 効果も狙う>で述べたように、中国が「一帯一路協力の日本モデル」と位置付けた「第三国での協力」を指す。中国では「一帯一路に関する第三国での協力」は「日本モデル」として定着し、ヨーロッパ先進国へと広げていくつもりだと、全人代会期中における中国政府関係者による説明などで大々的に宣伝されていた。イタリアへの勧誘およびフランスへの勧誘に関して、実行されたということだ。

中仏巨大経済協力と米・欧のバランスを操る習近平

3月25日、中仏間に巨大な経済協力が締結された。

まず、フランスを中心とするEU4ヵ国が運営するエアバスのA320機などを合計300機中国が購入することが決定された。それ以外にもエネルギー分野や造船分野などでフランス単独で中国と約5兆円に上る経済協力が調印された。

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