バイデン前副大統領「髪にキス」で窮地に
ニューズウィーク日本版 / 2019年4月1日 18時0分
<2020年の大統領選挙でも民主党で最有力視されているオバマの右腕にセクハラ疑惑が浮上。たとえ親愛の情の表現でも「接近し過ぎる」と見なされれば、ポスト#MeToo時代には時代遅れと切り捨てられかねない>
2020年の大統領選挙で、まだ出馬表明もしていないのに民主党候補としてトップの支持率を集めているジョゼフ・バイデン(76)に、セクハラ疑惑が持ち上がった。身体に触り、キスをしたとバイデンを非難しているのは元ネバダ州議員のルーシー・フローレス。雑誌「ザ・カット」に寄稿した記事で詳細を明らかにした。
それはバイデンがオバマ政権で副大統領を務めていた2014年のことで、当時、フローレスはネバダ州副知事選に立候補していた。バイデンは、彼女の応援のために選挙集会に参加していた。ある集会で演説をした後、バイデンはフローレスの両肩に手を置き、髪の香りを嗅ぎ、そして後頭部にキスをしたという。
「何が起きているのかわからなかった。とてもショックだった」と、フローレスは書いている。「動くことができず、言葉も出てこなかった。なんとかして、バイデンと離れたかった」
後頭部にキスをすることは、性的暴行にはあたらない。だがそれはいかにも、女性の友人や支持者と距離を縮めすぎるバイデンらしい振る舞いだ。「私はバイデンが法を破ったといおうとしているのではない」と、フローレスは書いた。「でも、社会が些細な罪と見なす(あるいは罪と見ることさえない)行為も、受ける側の人間に大きな影響を与えることが少なくない」
悪意はなくても当事者は不快
バイデンがアシュトン・カーター元国防長官の妻ステファニーの肩に手を置き、耳元で親しげにささやく映像が、2015年にマスコミの批判の対象になったことがある。仲間の上院議員の娘にキスしたり、支持者の女性の唇にキスしたり、女性を膝に乗せた写真もある。
この手の馴れ馴れしいキスについて、悪気はなくとも、バイデンは女性に不快感を与えている、とフローレスは指摘する。
「バイデンはアメリカで2番目、見方によっては世界で最も権力のある男の1人だった」と、フローレスは書いた。「彼は私を州副知事の職にふさわしい人間として応援するためにそこにいた。だが、彼は私に不安と不快感、混乱を感じさせた。アメリカの副大統領は、親しい友人や家族、またはロマンチックなパートナーにのみ許されるやり方で、私に直接触れた。私はそれに対して何もできない無力感にさいなまれた」
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