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花粉症、温暖化、放射性廃棄物の処分──「昭和」からのツケを引き継ぐ「令和」

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月12日 11時15分



石炭・石油の消費による「温暖化」

産業革命以降、人類は石炭、石油という地下に眠る「化石燃料」に依存した。その燃焼による大気中の二酸化炭素の増加と、大気の温度上昇に関係があるとの警鐘が鳴らされたのは約30年前。国連環境計画と世界気象機関によって1988年に設立された「国連気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の科学者たちの予測である。ちょうど「昭和」が終わる前年のことであった。

IPCCの報告によって、温暖化問題は国際政治の舞台に登場した。1992年にはブラジルのリオデジャネイロで「地球サミット」が開かれ、気候変動枠組み条約が署名された。その後、温暖化防止の各国の義務をめぐり、常に南北間の対立が伴ったものの、2016年に発効した「パリ協定」ではようやく途上国との足並みがそろった。とはいえ米国のトランプ大統領が同協定の離脱を宣言したことから、国際政治の上で先が見えなくなった。

当初、政治家や科学者の間でも、温暖化は二酸化炭素が原因であるかとの「懐疑論」もあった。しかし、この平成の30年間に世界では洪水や干害、山火事といった災害が多発してきた。国内の気象現象も激しくなり、集中豪雨が長く停滞する「線状降水帯」による災害をはじめ、山からの土石流や流木被害が目立つようになった。西日本豪雨、九州北部の災害は、その象徴だ。政府も温暖化への「適応策」として防災強化などに支出するようになった。

IPCCは、2018年の報告書で「産業革命以降、地球の気温は約1度上昇し、このまま続けば、2030~2052年の間に1.5度上昇する」と、パリ協定で決めた以上の意欲的な対策を呼び掛けた。人や自然は「適応」にも限界があり、1.5度を超えて2度の上昇になれば、さらに健康や水供給、食糧、経済成長、人間の安全に対するリスクが増大すると警告した。地球が誕生した46億年前、高温で二酸化炭素も高濃度だった大気から、生物が長い時間をかけて地中に封じ込めた炭素の化石燃料。その消費をどう節制するか。

先が見えない原発の廃炉

常磐炭田(現在の福島県いわき市周辺)での石炭時代の繁栄と衰退を見ながら、原子力エネルギー導入の道を選んだ福島県。昭和35年、大熊町・双葉町に原発の誘致を決め、その東京電力福島第1原子力発電所の1号機は同46年3月に運転を開始した。40年間運転中だった平成23年3月11日の東日本大地震と大津波に続く事故で、周辺市町村の住民避難を強いた原子力災害を引き起こしたのだった。

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