想定内だったムラー報告書、政治への影響は軽微か - 冷泉彰彦 プリンストン発 日本/アメリカ 新時代
ニューズウィーク日本版 / 2019年4月19日 14時50分
そうであっても、そうした声が投票行動に結びつくには、野党の民主党側が、広範な中道層に訴える穏健な政策を掲げ、しかもカリスマ性のある候補を立てなくてはなりません。現在の民主党には、そのような存在は現れていない中で、高齢政治家と、中道票にはアピールしない左派の政策論ばかりが目立っているのです。
民主党は、ニューヨーク地裁に訴えたり、下院の国政調査権を使って「まだまだ告発をやる」構えですが、2020年へ向けて本格的な大統領候補を決められなければ、政局をリードすることはできないでしょう。
その意味で、今回のムラー報告書は、そのような「左右対立の固定化した状態」にはほとんど影響を与えず、また中間層の良識を「アンチ・トランプ」に結集するほどのインパクトもなかった、そのように評価することが可能だと思います。
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