「心の専門家」に、ピエール瀧氏を「分析」させるメディアの罪
ニューズウィーク日本版 / 2019年4月19日 15時55分
「カメラの前に姿をみせたおよそ2分間、瀧被告は何を思っていたのか。そして、その心理状態は。人間の深層心理を読み解くプロ、臨床心理士の矢幡洋氏は、保釈時の瀧被告について......」矢幡:場面緊張という言葉がありますけれど、特別な場面になると萎縮したり怖がったりしてしまうというようなことがあります。非常によく知られた現象ですけど、よく知られた現象が、このシーンのなかではまったく見られないんですね。「矢幡氏が指摘する複数の違和感とは――」矢幡:謝罪の場のはずが、出て来てまずぐるっと見回す。それからお辞儀をしてまた見回したり、喋る前に左右をみたりとか。つまり全然萎縮していない。上半身がフリーに動いている。さらに一瞬手を後ろに組むなどですね、ちょっと謝罪にはあまり似つかわしくない姿勢も。これほど余裕綽々とした人を私は保釈時、Vで見たことがない。もしかしたらこれ拘留されている二十何日間でいろんなシミュレーションを組み立てて、役者としてやっているのかなという印象も受けます。「また、矢幡氏は、謝罪の言葉にも違和感があるという」<このたびは、私ピエール瀧の、反社会的な行為により大変多くの皆様の方にご迷惑とご心配をおかけしてしまいました>矢幡:反社会的というような、報道ニュースで使うような言い方をしていて、まるで自分でやったことについてではなく、何かの事件についてコメントしているような言い方で終わっているところです。自分がやったことなんだというような、そういう生々しい感情がないのかなという気もいたしました。「そして、この場面も(お辞儀)」矢幡:約30秒間、ずっと頭を下げて、最後に関係者が促して、やっと頭をあげると。本当に反省の気持ちがそれだけ強かったというよりも、計算が働いたのかなと思います。
無自覚という罪とメディアの責任
テレビでは、ピエール瀧氏のみならず、メンバーである石野卓球氏にすら、謝罪や説明を求めるコメントも溢れていた。そうした論調の中で、このような「専門家」によるコメントは、「無反省」を叩くという空気を強化するものになるだろう。
薬物依存に関する問題においては特に、本人の「反省」を追及するモードが、治療と回復を妨げてしまうという側面がある。それでもあえて、公に専門知の権威を借りて、「無反省」を指弾することの意義はどのようなものなのだろうか。しかも、非常に薄い根拠をもって。
ここに興味深い文章がある。先の「ミヤネ屋」に出演していた矢幡氏が、かつて自身のブログに書いていたものだ。
この記事に関連するニュース
-
生成AIで死者を“復活”させるビジネスは人を救うのか 指摘される懸念とは?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月27日 6時20分
-
かつての「普通の人」が、現代では「心を病んだ人」に…先進国で精神疾患が増え続けている"本当の理由"
プレジデントオンライン / 2024年4月8日 11時15分
-
「非倫理的で危険」と学会声明 子どもへの頭部磁気治療で
共同通信 / 2024年4月4日 22時48分
-
「娘の嫌がる活動はさせないでほしい」と保育園に要求する母親が見落としている視点
プレジデントオンライン / 2024年4月4日 6時15分
-
医師が推奨「がん患者の緩和ケア」なぜ大事なのか 緩和ケアには延命効果が、家族も対象に
東洋経済オンライン / 2024年3月29日 17時0分
ランキング
-
1米、9460億円の支援表明 対ウクライナ、過去最大規模
共同通信 / 2024年4月27日 9時49分
-
2少数民族の組織、独自に3人処刑 ミャンマー北東部、批判も
共同通信 / 2024年4月27日 16時55分
-
3キューバで死亡のカナダ人、誤ってロシアに埋葬
AFPBB News / 2024年4月27日 14時30分
-
4ロシアで元囚人の帰還兵による凶悪犯罪相次ぐ 2年間で市民100人超死亡
産経ニュース / 2024年4月27日 10時30分
-
5ガザ休戦案で協議か=エジプト代表団がイスラエル入り
時事通信 / 2024年4月26日 23時11分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください