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ウクライナの喜劇俳優とプーチン、笑うのはどっちだ?

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月23日 18時20分

ゼレンスキーが自国の部隊をどう扱うかはまだ不透明だ。彼はかつて、ロシアの支援を受けた分離主義者を「反逆者」と呼んでおり、今後ウクライナ軍との関係修復を行う必要があるだろう。「我々の下に反逆者はいない。ロシアが侵略してきたのだ」と、ウクライナ軍はツイッターに投稿。「ウクライナ軍はこのことを決して忘れないし、許さない!」

だがこの失敗にもかかわらず、一部の分離主義者はゼレンスキーの勝利を祝い、投開票日の夜にウクライナ軍の部隊めがけて発砲してきたと、ある兵士は語った。

ロシア軍は海上からくる?

ウクライナ軍の複数の当局者は、ロシアが国境地帯に部隊を集めていると言っている。だが、ロシアとの今後のいかなる紛争も、陸路より海路によるものになるはずだと、ウクライナ海軍参謀本部の作戦部長であるアンドリー・リジェンコ大尉は指摘する。「海上の境界線の防御が我々の弱みだ」

2018年11月、ロシア海軍はケルチ海峡でウクライナ海軍の複数の小型艦に発砲し、これらの艦船を拿捕した。以降、ロシア当局は同海峡を通過する貨物船の航行を遅らせており、ウクライナ軍の当局者たちはこれについて、同国東部の経済をひっ迫させるための試みだと主張している。ウクライナは今後6年間で黒海周辺12海里の支配権を獲得したい考えだが、これはきわめて難しいことだとリジェンコは語った。「ウクライナは小型砲艦2隻と補助艦船2隻しか所有していないのに対して、ロシア側は100隻を超える艦船を所有している」

海からのロシアの脅威は、西側諸国の分断を突いてくるかもしれない。ペトロ・ポロシェンコ現大統領が率いる政府は、NATOへの加盟を望んできた。ひとつの加盟国に対する攻撃を全加盟国に対する攻撃と見なす集団的自衛権の枠組みが、ロシアに将来の侵攻を断念させるだろうと期待してのことだ。だが西側の軍事当局者たちは、NATOはウクライナに関する意見の対立から機能不全状態にあると指摘する――そうなると、今度はNATOの正式なチャネルを通して情報共有を行うことへの不安が生じる。特にハンガリーやイタリアなどの国はロシア寄りと考えられているからだ。それでもNATO加盟諸国は4月4日、ウクライナへの軍事的支援を強化することで合意した。



アメリカは、ウクライナ東部、クリミアとケルチ海峡でのロシア政府の行動を受けて、ロシアの複数の個人に制裁を科した。だがロシアに対するさらなる罰を求めてきたウクライナと東欧諸国の政治家たちは、トランプ政権が1月、プーチンに近いロシア新興財閥のオレグ・デリパスカの所有する企業に対する制裁を解除したことに驚いた。もっとも、米国務省の報道官はフォーリン・ポリシー誌に対して、ロシアがウクライナ東部での行動を改めるまで、アメリカによる制裁は継続させるとしている。

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