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中国に懐柔された二階幹事長──「一帯一路」に呑みこまれる日本

ニューズウィーク日本版 / 2019年4月26日 17時0分

習近平が言った言葉

習近平が言った言葉に関しても、一見「ささいな」、しかし実は非常に重要な違いがある。

それはTBSでナレーターが最後に説明した(二階氏が)「習主席から一帯一路への日本の積極的な参加を求められた」という部分だ。

ただ単に「積極的な参加」と翻訳すると、まるで「これまで一帯一路には参加を表明していない」かのように聞こえる。

習近平が実際に言った言葉は「希望日方更加積極参与共建一帯一路」である。直訳すれば「日本が一帯一路を共に建設していくことを更に強化していくことを希望する」と言ったのである。

つまり、昨年10月26日の安倍・習近平会談のときに、安倍首相が言った「(一帯一路への)協力を強化する」という言葉を前提にしたもので、「(一帯一路に関して)すでに第三国での協力に日本が賛同していること」を前提としており。これは3月11日付のコラム<全人代「日本の一帯一路協力」で欧州への5G 効果も狙う>で詳述した通りだ。

二階氏「米国の顔色をうかがって日中の問題を考えていくものではない」

安倍首相は現在訪問中のヨーロッパで「一帯一路」に潜んでいる危険性を述べたりして中国を牽制するような姿勢を見せている。ヨーロッパ歴訪の後はアメリカをも訪問してトランプ大統領と会談することになっているからだろう。



このような、その場限りの、矛盾に満ちた「変身」を重ねても、すでに遅い。安倍首相の特使として訪中した二階氏は、「安倍首相の代わりに」25日から北京で開催されている「第二回一帯一路国際協力サミット・フォーラム」に参加するだけでなく、「中国とのこの件(一帯一路)に関する協力を強化したい」と習近平に述べている。会談では「習近平主席が提案なさった一帯一路は巨大なポテンシャルを持った壮大な構想で、中国がこの構想を通して世界と地域に重要な貢献をしていることを、日本は積極的に高く評価している」とも言っている(中国語を日本語訳した)。

それだけではない。習近平との会談後、二階氏は記者団に「今後も互いに協力し合って(一帯一路を)進めていく。米国の顔色をうかがって日中の問題を考えていくものではない」と強調したとのこと(産経新聞など)。

同様の言葉は、北京に行く直前の4月23日の記者会見でも発している。

自民党の<役員連絡会後 二階幹事長記者会見>をご覧いただきたい。

毎日新聞の記者の「明日から幹事長は訪中されます。中国の一帯一路については、アメリカの対応に配慮して、日本政府も閣僚の派遣を見送っております。その中で幹事長は訪中の意義についてどうお考えですか」という質問に対して二階氏は「これはお隣の国ですし、大変日本にとっては重要な国であります。アメリカの御機嫌をお伺いしながら日中関係をやって行くのではありません。日本は日本として独自の考えで中国と対応をしていく、こういうことです。アメリカから特別の意見があったら承りますが、それに従うつもりは無いです」と回答しているのである。

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