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Huawei一色に染まった中国メディア──創設者が語った本音

ニューズウィーク日本版 / 2019年5月22日 18時0分

A:労働時間に関しては西側諸国の労働法という価値観を尊重する。労働者の合理的な時間を保護しなければならない。しかし華為には使命感がある。使命感に燃えている。それがなかったら、何も創りだすことができない。

今年の春節には社員は誰も故郷に戻ろうとせず、車内で寝泊まりして頑張った。帰れと言っても帰らない。我が社にいる外国人の科学者でさえ、中国の科学者よりももっと強い使命感を抱いてくれているくらいだ。だから結婚する時間さえ取れていない。(この理由に関しては拙著『「中国製造2025」の衝撃』の中の華為の頭脳「ハイシリコン(海思)」の個所をお目通し頂ければご理解頂けるものと思う。)



以上、一部しかご紹介できなかったが、任正非氏はほかにも「ハイテクのレベルにおいて米中の間には総体的に見てまだ大きな差があるが、しかし華為とアメリカ企業を含めた他の企業との差は大きいとは思っていない」と自信のほどを覗かせている。

アメリカは「華為に関する証拠が出せない」と駐米中国大使

同日、ワシントンでは崔天凱・駐米中国大使が「これまでの米中通商協議における合意案をめぐり、一夜にして心変わりしたのはアメリカだ!しかも、一度や二度ではない!」と、FOXニュースの取材で憤りを露わにしている。

華為に関しても、アメリカが、華為が情報を盗み中国政府に渡していると非難していることに関して「根拠や証拠が全くない」と痛烈に批判。さらに「華為は普通の民間企業だ。アメリカの華為に対する非難と措置は全て政治的動機に基づいている」と、トランプ政権の主張および措置に反論した。

筆者が最初から警告を発していた事態が、遂に現実化し始めた。

それが5月21日の出来事である。ここから中国は、そして華為の闘いは分岐点に入って行く。

1993年、94年には、華為を潰そうとしていた中国政府(当時の李鵬国務院総理)が、遂に華為と共同戦線を張って、全中華民族の心を結集した毛沢東の戦術「人民戦」に入って行くのだ。

これを理解しない限り、米中の衝突を分析することはできないと確信する。

「日中関係は正常な軌道に戻った」とする安倍首相は「華為」を取るのか「トランプ」を取るのか。興味深いところである。

[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。

※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)


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