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ファーウェイを排除してもメリットなし、5Gが遅れるだけ

ニューズウィーク日本版 / 2019年5月28日 16時20分

オーストラリアの電気通信網は既に、2018年8月に政府が発表した通信部門安全保障改革の影響を感じている。

一連の改革は「通信会社に対して、我が国の安全保障に危害をもたらす可能性のある不正な介入やアクセスから、オーストラリアのネットワークを守ることを義務づけて」いる。各企業に対して、ファーウェイ製品の使用はサイバーセキュリティ―法違反にあたる可能性があることを効果的に知らしめたものだ。この通知後もファーウェイ製品の使用を続ければ国の安全保障に危険をもたらす可能性があるとして、訴追や風評被害のリスクも負うことになる――。

もちろんどの企業も、そんな立場に立たされることを望んでいない。その結果、オプタスやボーダフォンのような複数の企業が、2016年から取り組んできた5Gの試験や展開計画についての再交渉を余儀なくされた。オプタスは既に5Gサービスの提供開始を延期することを決定している。

多くの通信事業者は、ネットワーク構築や試験にノキアやエリクソンなどそのほかのメーカーも使用している。だがこれらの企業の5G設備の品質がファーウェイに追いついていないことは、ヨーロッパの例から見ても明らかだ。

他社への切り替えや高品質サービスの開始遅延に伴うコストは、まず各携帯電話会社が吸収し、最終的には消費者に転嫁されることになる。現在NBNの通信サービスに不満を抱いている消費者は今後、5Gサービスの開始をさらに待たされる上に、その料金がさらに値上がりする可能性があるのだ。

豪政府のセキュリティー対策で十分では?

ファーウェイ製の携帯電話を好む消費者には、ダブルパンチが待っている可能性もある。グーグルが先日ファーウェイ端末へのサービス提供を一部停止したことで、これらの顧客は今後、グーグル・プレイ(アンドロイド端末向けのアプリストア)にアクセスできなくなる可能性がある。

中国がインターネット上で、諸外国の諜報収集活動を活発化させていることは周知の事実だ。だがファーウェイがそれを支援してきたかどうかは疑わしい。イタリアでファーウェイ製品の安全上の欠陥が検知されたが、バックドアが原因ではないとされている。

ドイツでは幅広い規制を導入し、5G通信網のサプライヤは信頼できる事業者で、国内法の下で確実に情報保護を行わなければならないものと定めた。

オーストラリアが同様のアプローチを取るためには、各事業者に対して通信機器の導入前に試験を行い、導入後も定期的に試験を実施することを求める必要がある。政府はサイバーセキュリティ―向上のために1億5600万ドルの拠出を確約している。これはサイバー攻撃を防ぐためのスキル開発や、豪サイバー・セキュリティー・センターの能力向上を目指す取り組みで、2020年末の5Gサービス開始に合わせて発表された可能性がある。

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