1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

中国、反米キャンペーン開始:最強硬メディア「光明日報」の主張を読み解く

ニューズウィーク日本版 / 2019年5月28日 16時50分



一、中国に「極限の圧力」をかける米国の政策は、実際には「自損式」の駆け引き戦略であり、最終的には「元本丸損」(全面的失敗)の状況に陥る可能性がある。一、米国のこうした誤った戦略は(1)21世紀の世界を19世紀の重商主義時代と同一視する(2)中国市場を他と代替可能な市場と考える――といった誤った認識に基づいている。一、中国側は(1)「ローエンド製造業の移転」と「サプライチェーンからの排除」を区別し、米国による圧力の実際の効果を過大評価してはならない(2)米国のイノベーションは中国を戦略的に受け身に追い込むなどいうことはない(3)80年代の日本などのケースで分かるように、米側の要求を無条件で受け入れても、問題は解決しない――という正確な認識をしっかり持つ必要がある。一、米国のいじめに反撃すると同時に、核心的利益を堅持し、自らの発展方向・リズムに対する主導権を保たねばならない。また、団結を保ち、金融・経済発展への自信と安定局面を維持しなくてはならない。

18日の論文「覇権主義はグローバルサプライチェーンにとって最大の脅威」は、バノン氏が2017年に来日した際、(1)製造業振興プロジェクト「中国製造2015」(2)陸海のシルクロード経済圏構想「一帯一路」(3)次世代通信規格「5G」――を警戒の重点として挙げ、中国の台頭を阻止すべきだと発言したと指摘。これは「覇権のロジック」であり、その覇権が衰退しているため挑戦者を早めに抑え込もうとしているとの見方を示した。

抗日戦争との類似性指摘

20日の論文は「中米経済貿易摩擦の解決には三つの誤った認識を正す必要がある」。沈氏は次のように主張した。

一、抗日戦争(日中戦争)がこう着状態になってから、日本側は戦略を調整して投降を誘う政治的働き掛けを強め、中国の内部崩壊を図った。現在の中米関係も似た状況にある。一、米側の対中圧力が思ったほど効果を挙げず、中国が有効な対応力を示しているのに、国内のインターネット上では危険な結果を招きかねない誤った認識が表れている。それは(1)米国の勢力は大きく、中国は必ず負けるので、負けを認めるなら遅いより早い方が良い(2)貿易戦争で米国に負けることは、中国国内の良い変革に寄与する。米国には、極限の圧力により、中国の国有企業中心の経済体系や政治制度、イデオロギーを壊してほしい(3)中米経済貿易摩擦は必ず、米側の基準に合う「専門家」の手で解決しなければならず、普通の中国人はこの問題に過度の関心を持ってはならない――という認識だ。一、これらの誤った認識を克服するには、歴史唯物主義と弁証的唯物主義によって、中米経済貿易摩擦の核心と本質を把握する必要がある。いわゆる「韜光養晦」(能力を隠して実力を蓄える)は米国に対して無条件かつ無限に譲歩することに等しいという認識は、典型的な歴史虚無主義である。一、さらに、米国ではなく中国の国家利益を基準にして、中米経済貿易摩擦を認識、理解するとともに、正確な倫理観を確立し、利己主義を避けなければならない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください