中国はトランプ訪日をどう報道したか
ニューズウィーク日本版 / 2019年5月29日 19時0分
F-35ステルス戦闘機を105機購入することに関して
さすがに日本がアメリカからF‐35ステルス戦闘機を105機も購入することに関しては、中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹版「環球時報」が黙ってはいなかった。それでも環球時報は5月27日、あくまでもロシアの衛星網(スプートニク)が報道したとして、直接の日本攻撃を避けている。
しかし中国政府関係者は筆者に語った。
――アメリカの軍事産業がトランプを動かしている。彼らを喜ばせていないと、大統領選に勝てない。そのためには東アジアが平和になるとアメリカは困るのだ。それを理解している安倍は、北朝鮮の脅威を強調することによって、今度は日本における選挙に勝ってきた。民主主義国家は、常に選挙のために動いている。そのためなら平和を犠牲にしてもいいというのがアメリカだ。それでいながら、トランプは金三(金正恩委員長への蔑称。金ファミリー三代目の意味)との仲を裂かれたくないと思っている。北朝鮮問題を解決した歴史に残る偉大な大統領となりたいという名誉欲と自国の軍事産業関係者との間で、トランプは股裂き状態だ。だからせめて安倍に「北朝鮮の行為は国連決議違反だ」と言わせておきながら、自分は「金正恩を信じたい」と述べる。すべてが芝居だね。
中国も芝居が多すぎると思うが、しばらくその「芝居比べ」を考察するとしようか。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』(2018年12月22日出版)、『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』(中英文版も)、『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』、『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など多数。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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遠藤誉(筑波大学名誉教授、理学博士)
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