資産形成を始めるなら若いほど有利──株と投信で資産防衛する方法
ニューズウィーク日本版 / 2019年6月10日 15時15分
また、医療費や社会保険料などの国民負担は高齢化の進展で増加が見込まれるほか、将来的に消費税率が欧米並みの15%~20%に段階的に引き上がる可能性も否定できない。当然、その場合は企業の負担も増えるので、退職金や終身雇用制度の維持すら難しくなるかもしれない(事実、退職金も終身雇用の企業も減り始めている)。
1990年代初頭にバブル経済が崩壊すると、日本では長らく物価が上がらない状態と超低金利が続いた。物価が上がらないのであれば、たとえ利息が付かなくても現金や預金で蓄えるのが正解という考え方も成り立った。
ところが、既に状況は変わった。物価は緩やかに上昇し始めた一方で、超低金利は当面続く公算が大きい。金融政策を担う日本銀行は、物価が2%程度で安定的に上昇するまで超低金利政策を続ける構えだ。
日本だけではない。米国や欧州、中国に至るまで経済の成熟化と高齢化で成長鈍化が確実視される。昭和~平成の時代とは考え方を変えなければ、令和時代の現役世代は自分の資産を守れない。
株は長期的には値上がりが期待できる
よく「株や投資信託は怖い」という声を聞く。確かに、以前は株も投信も怖いものだったが、近年は個人が長期的な資産形成を始める環境が整ってきた。日本の株式市場はバブルの清算を終え、米国など海外の株や投信も購入しやすくなった。金融行政・金融業界も個人の資産形成を後押しする方向に舵を切った。
さらに、若い世代は老後まで数十年という時間がある。これが最大の武器だ。「時間を味方につける」とはどういう意味か。そもそも株式というのは(株式を組み入れいている多くの投資信託も同様)、短期的には値上がりと値下がりを繰り返すが、長期では値上がりが期待できる。
なぜなら、株式の適正価格(理論価格)は(1)自己資本(資本金や過去に稼いだ利益の蓄積など)と(2)将来の予想収益(現在価値に換算)の合計で決まる(図表1)。一般に企業は稼いだ利益の一部を自己資本に加算する。赤字が続かない限り長期的には自己資本が増えるので、株価も上昇するということだ。
「時間を味方につける」積立投資とは?大儲けは狙わないが、大損も避ける
それでも日本では「株は上がらない」というイメージが強いのはなぜか。最大の原因はバブルだ。1980年代のバブル期は株価が適正価格より高くなりすぎたため(ピーク時は適正価格の4倍くらい)、その調整に20年近くかかった。この20年間は株価が少し上がるとすぐに下がることを繰り返したため、「株は上がらない」というイメージを植え付けられたのだろう。
この記事に関連するニュース
-
オルカンとS&P500には「宿命的な課題」がある…新NISAの大人気商品が抱える「高株価&大型株偏重」という懸念
プレジデントオンライン / 2024年6月20日 9時15分
-
投資初心者の資産形成術…株式投資「安く買って、高く売る」をシステマチックに実現するスキーム【経済評論家が助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月2日 9時15分
-
銀行預金は「実質的にお金を減らす行為」である…「投資が怖い」と思う人に知ってほしいインフレの恐ろしさ
プレジデントオンライン / 2024年5月29日 16時15分
-
日経平均「20日間で1割下落」は大丈夫なのか…新NISAの利用者に伝えたい「下落相場の対処法」
プレジデントオンライン / 2024年5月29日 10時15分
-
新NISAで投資を始めた初心者は要注意…いずれ来る「5年に一度の大暴落」で絶対やってはいけない3つの行動
プレジデントオンライン / 2024年5月29日 8時15分
ランキング
-
1ガンプラを「定価以上」で一部店舗が販売、中古も含まれ転売疑惑も セブン-イレブン「混乱を与えた」「現在は撤去」
J-CASTニュース / 2024年6月21日 13時50分
-
2アマゾン、アレクサ刷新へ 月額5─10ドルの有料版も=関係筋
ロイター / 2024年6月21日 20時31分
-
3ジャカルタ鉄道新線「日本支援で建設」決定の裏側 JICA現地事務所長に聞く「東西線プロジェクト」
東洋経済オンライン / 2024年6月22日 7時30分
-
4ホンダ、50cc以下の原付きの生産終了へ…スーパーカブは「世界で最も売れたバイク」
読売新聞 / 2024年6月22日 11時9分
-
5AIだけじゃない!予告された「iPhone」進化の中身 秋からもっと「自由」に、来年はもっと「便利」になる
東洋経済オンライン / 2024年6月22日 12時30分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)