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資産形成を始めるなら若いほど有利──株と投信で資産防衛する方法

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月10日 15時15分

まず「(1)コストとリターンの関係」で最も大事なポイントは、コストが高いからといってリターンも高いとは限らないことだ。図表2の左図のとおり、年間コストが2%超の投信55本のうち45本はリターンが年率10%未満だった。コストが1%未満の低コスト投信よりリターンが低かったものも少なくない。

一方、「(2)リスクとリターンの関係」では、高リスク投信ほどリターンも高い傾向があり、いわゆる"ハイリスク・ハイリターン"の関係がみられる。

もちろん過去のリターンが高いからといって将来も高リターンとは限らない。一方、リスクについては継続性がある(過去のリスクが高かった投信ほど、今後も相対的にリスクが高い傾向がある)。投信を選ぶ際は(1)よりも(2)のKPIを重視するとよいだろう。





積立投資は、いつ始めるのが吉か

まず、始める時期だが、今後は長期的に株価が上昇基調であることを前提条件として20年間でシミュレーションしてみた。株価は図表1のように上げ下げを繰り返し、20年間の平均騰落率は年率5%とした。

X氏は毎月1万円ずつ20年間、Y氏は10年後から毎月2万円ずつ10年間、積立投資をしたと仮定する。累計の投資額はどちらも240万円で同じだが、20年後の資産額はX氏が462万円、Y氏は361万円となった。実に101万円の差だ。

株価の動きは、前半10年間は上げ下げを繰り返しながらほぼ横ばい、Y氏が投資を始めた後半10年間に大きく値上がりしているので、「10年後に始めれば十分では?」と思うかもしれない。ところが20年後の資産額はX氏のほうが100万円以上多い。

なぜこれほどの違いになったのだろうか。もちろんシミュレーションの前提として「長期的に上昇する」と仮定していることもあるが、早くから積立投資を始めた威力が表れている。Y氏が投資を始める時点(10年後)を考えてみよう。X氏は10年後の時点で資産額が128万円ある。それまでの累計元本は120万円なので、投資で増えた金額は8万円に過ぎない。

しかし、Y氏が投資を始めるとき、X氏は128万円を一度に投資するのと全く同じ意味になる。そのため、10~20年後の上昇相場の恩恵がY氏より大きくなったのだ。

積立投資は節税などの観点から「早く始めたほうが有利」とされるが、このシミュレーション結果からは、利息が利息を生む"複利効果"をより大きく得る意味でも、早めに始めた方が有利なことが示唆される。

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