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性的虐待の記憶「耐え難い苦しみ」と、17歳の少女が合法的安楽死

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月5日 17時0分

<不治の病でも身体の激痛でもない、性的虐待とレイプの被害者の苦悩が、希望通りの死に値すると認められた>

オランダで10代の少女が、合法的に安楽死を実行したことがわかった。子どものころに受けた性的虐待やレイプに起因する「耐え難い苦痛」と何年も戦った末の選択だった。

17歳のノア・ポトーベンは、ハーグで安楽死の権利を認められたのち、6月2日に自宅のリビングで死の世界に旅立った。ポトーベンは11歳の時に性的虐待を受け、その3年後にレイプされた。以来、ポトーベンは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病、拒食症に苦しんできた。

彼女は「Winnen of Lernen(勝つか学ぶか)」というタイトルの自伝を著し、自らの心の病との戦いについて詳述している。

<参考記事>安楽死が合法的でなければ、私はとうに自殺していた
<参考記事>苦しまない安楽死マシンなら死を選びますか?

ポトーベンは安楽死するという選択を、インスタグラムへの投稿で明らかにした。「この場合、愛とは放っておいてくれること」と彼女は綴り、「この決断に驚く人もいるかもしれません。でもかなり以前から、(安楽死を選ぶ)心づもりはあり、衝動的なものではありません」と書いている。「ずばり要点を述べます。これから長くても10日以内に、私は死にます」

「呼吸はしていても死んでいます」

「何年も戦い、克服しようと努力する中で、疲れ切ってしまいました。私はしばらく前から、飲食を絶っています。何度も話し合い、診断を受けた結果、私の苦痛は耐えがたいものだとして、死ぬことを認めてもらえました」と、ポトーベンは続けている。「私は呼吸はしていますが、もはや生きてはいません」

ポトーベンはまた、自らの友人やインスタグラムのフォロワーに対して、こう要請している。「これは良くないことだと、私を説得しようと試みることはやめてください。これは私の決断で、それも最終的なものなのです」。その後、ポトーベンの投稿は削除された。

オランダでは2001年に安楽死が合法化された。ポトーベンが生まれた年。翌年には、「要請に基づく生命の終結および自殺幇助(審査手続)法」が発効した。

同法に関するFAQをまとめてオランダ外務省が発行した文書には、以下のような記述がある。「ここで言う安楽死は、患者からの要請によって医師が生命を終結させることだ。これ以上の治療に意味がないとの判断から、自然に死に至るに任せるという延命措置の中止とは異なる(中略)。この法律の目的は、すべての安楽死の審査に同一かつオープンな基準を適用し、こうした特殊な場合にも最大限のケアがなされることを確実にするものである」

(翻訳:ガリレオ)


※6月11日号(6月4日発売)は「天安門事件30年:変わる中国、消せない記憶」特集。人民解放軍が人民を虐殺した悪夢から30年。アメリカに迫る大国となった中国は、これからどこへ向かうのか。独裁中国を待つ「落とし穴」をレポートする。



クリスティナ・チャオ

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