実写版『空母いぶき』をおススメできないこれだけの理由
ニューズウィーク日本版 / 2019年6月6日 20時40分
「日本が敵国から武力攻撃事態を受けて、内閣をはじめ各部署が奔走する」というテーマの中に、映画版『空母いぶき』と映画版『宣戦布告』を並列させてみると、前者は0点かそれに近いくらい低く、後者は60~70点という感触を持つ。
映画版『空母いぶき』が、原作の世界設定ばかりか、かわぐちかいじ先生という作家の持つ系統的な「戦後日本」および「戦後日本人」への問いかけというテーマそのものがほとんど無視され、このような形で実写化されたことについて、筆者は改めてかわぐちかいじ先生の大ファンとして怒りに近いニュアンスを表明して本稿を脱稿するほかない。(了)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
[執筆者]
古谷経衡(ふるやつねひら)文筆家。1982年北海道生まれ。立命館大文学部卒。日本ペンクラブ正会員、NPO法人江東映像文化振興事業団理事長。著書に「日本を蝕む『極論』の正体」 (新潮新書)の他、「草食系のための対米自立論」(小学館)、「ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか」(コアマガジン)、「左翼も右翼もウソばかり」(新潮社)、「ネット右翼の終わり」(晶文社)、「戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか」(イーストプレス)など多数。最新刊に初の長編小説「愛国奴」、「女政治家の通信簿 (小学館新書) 」
古谷経衡(文筆家)
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