慰安婦映画『主戦場』リアルバトル 「騙された」vs.「合意を果たした」
ニューズウィーク日本版 / 2019年6月7日 18時0分
2018年9月30日に映画祭について通知したら、藤木氏から映画祭前に見たいと返事があった。5月に出演部分を送っていたことを伝えると『迷惑メールに分類されているようなので再送してほしい』と要請があり、再送した。その後苦情や要求はなかった。
藤岡・藤木両氏は、一般公開前に8回あった試写会に招待されている。彼らが試写会を認識していたことは、5月30日の配布資料に招待状のコピーが含まれていたことからも明らか。もし藤岡・藤木両氏が発言が意図と反して使われたと言うならば、一般公開前に異議を申し立てることができたのに、彼らはしなかった。以上のことから、私は課せられた合意を果たしたと思っている」
【参考記事】言論バトル『主戦場』を生んだミキ・デザキ監督の問題意識
慰安婦の碑が世界各地に建設されている ©NO MAN PRODUCTIONS LLC
「今すごくホットな映画」と紗倉まなさんがツイート
なぜ藤岡氏らが会見を開いたと思うかと問われ、デザキ監督は「(7人が)この映画を気に入っていないからではないか。人に見てほしくない、評判を下げたいと思っているからだと思います」と答えた。
「映画の中で、彼らの言葉をねじ曲げたり切断したりすることはしていないから、なぜ自分たちの支持者に見てほしくないと思っているのか不思議に思います。彼らが語る言葉は既にさまざまな記事で出ており、逸脱した表現をしているとは思っていない。どうして気に入らないのか。気に入るだろうと思っていた」
確かに「グロテスクなプロバガンダ」と批判しながらも、藤木氏は会見で映画内での「フェミニズムを始めたのは不細工な人たち」といった自身の発言について問われると、内容そのものについては「まったく改める必要もない」と回答。発言の一部を切り取られたことに憤っていると語っている。
しかしデザキ監督は「映画での発言について、意図と違う内容で映されているという不服や不満は現在のところ出てきていない」と言う。さらに「どんな記事も映画も100%客観的ではありえないが、彼ら(慰安婦否定派)の言い分を入れたという点でフェアだと思っている」。
デザキ監督は「グロテスクなプロパガンダ」ではないとし、こう主張した。
「最終的に私の結論がどういうものか、どうしてその結論に至ったかについては明快で、そのプロセスが分かるがゆえに『主戦場』はプロパガンダ映画ではないと思う。この透明性によって、観客が結論に同意することも同意しないことも自由にできる。映画を見て、それぞれの論点について観客自身が検証することを推奨している」
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