ファーウェイ、一夜にして独自OS:グーグルは米政府に包囲網解除を要求か
ニューズウィーク日本版 / 2019年6月11日 18時45分
グーグルは自由に改良できるLinuxをもとに作っているため、スマホなどを開発するメーカーによって積極的にカスタマイズされて発売されている。だから大丈夫なのだろう。素人目には、知財権に関して大丈夫なのかと思ってしまうが、グーグルもそういった批判は発表しておらず、むしろバグ(プログラム上の欠陥)が発生して安全が保証できないスマホが蔓延するので、ファーウェイ包囲網は、かえって米国に安全上のリスクをもたらすという論理で、グーグルは米政府に抗議している。
しかし、これは「ファーウェイにしてやられた」ということではなく、最初から仕組まれていたのではないかと、筆者には映る。
シリコンバレー精神か?
なぜなら、かつて『ネット大国中国 言論を巡る攻防』(2011年、岩波新書)でグーグルの中国撤退に関するプロセスをつぶさに追いかけたことがあるが、グーグルには常に「良心」がある。だからこそ中国政府の言論弾圧と統制に抗して、グーグルは中国市場を撤退したのだ。そのとき多くの中国の若者は民主を求めてグーグルとの別れを涙で惜しんだものだ。
グーグルの理念「邪悪になるな」(Don't be evil)に関しては、最近では3月25日付のコラム<グーグルよ、「邪悪」になれるのか?――米中AI武器利用の狭間で>でも触れたが、そのグーグルの魂は彷徨い続けているようにも見える。
一方、筆者は『中国がシリコンバレーとつながるとき』(2001年、日経BP社)に書いたように、長年にわたってシリコンバレーの企業家たちと接触し、シリコンバレー精神とは何かを学んだつもりだが、彼らには母国アメリカに対する「反骨精神」のようなものがあり、常に「グローバルの世界」の中に命を見出して生きているように映った。その彼らがトランプ政権の「一国主義」あるいは「保護主義」に共鳴するはずがない。
企業として生き延びるために一定程度は米政府に従うだろうが、彼らの魂は「グローバル」にある。それは中国政府に「いつ倒されるか分からない」として、全世界に拠点を広げていったファーウェイの運命に、一脈通じあるものがあるにちがいない。
いずれにせよ、グーグルは「ファーウェイ包囲網の解除」を米政府に求めたことだけは確かなようだ。
このニュースを最初に伝えたのはFinancial Timesのようだ。但しこのサイトは全文が読めたり読めなかったりして、不安定だった。現時点では "Subscribe to the FT to read: Financial Times Google warns of US national security risks from Huawei ban." という見出しの所で読めるはずだが...。
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