世界に誇る『ゴジラ』シリーズ化の原点は、1955年公開の2作目だった

ニューズウィーク日本版 / 2019年6月14日 17時15分

<1954年11月、ゴジラが誕生した。これまでに30作以上のゴジラ映画が製作され、現在は最新作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が公開されている。このシリーズを語るには、特撮怪獣映画の娯楽性を新たに模索した『ゴジラの逆襲』を避けて通れない>

(※この記事はPen+(ペン・プラス)『完全保存版 ゴジラ、再び。』より)

ゴジラ映画は最初からコンスタントにシリーズを重ねていったわけではなかった。1954年11月公開の第1作『ゴジラ』の原作者・香山滋が書き上げた続編が『ゴジラの逆襲』である。この時点で「原作・ゴジラ」は完結していた。

ゴジラ映画を正しくいえば、1、2作目が原作の正・続編。7年後の第3作『キングコング対ゴジラ』からは、東宝が生んだ怪獣スター"ゴジラ"を原作から独立させ、シリーズ化した映画といえる。

新たな怪獣はゴジラと同時代に生息していた凶暴な肉食恐竜アンキロサウルス、通称「アンギラス」だったことが判明。 © 1955 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

田所博士は「水爆実験がゴジラを呼び覚まし、今度はアンキロサウルスを蘇らせた」と説明。 © 1955 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

ゴジラ対策について意見を求められた山根博士は、ゴジラを葬る唯一の手段が芹沢博士の死によって不可能になったと告げた。 © 1955 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

結末シーンの想定が、続編を生むきっかけに。

2作目でゴジラが暴れる舞台は、興行関係者の要望で大阪に決定。原作者・香山滋を再び招き、急遽企画がスタートした。人類が無謀な核実験を続ける限り、ゴジラは生き続ける。

製作は田中友幸。脚本は前作の村田武雄に日高繁明が参加。監督は本多猪四郎に代わり、小田基義が担当。日高、小田は前年12月に公開された『透明人間』に続いての特撮映画である。音楽も伊福部昭から佐藤勝にバトンタッチ。重厚なテーマの前作に対し、本作はエンターテインメントに徹した続編だ。

ゴジラ復活とともに話題の中心となったのが暴龍アンギラスである。その後の特撮映画に必要不可欠な怪獣対決はここから始まったのだ。前半をゴジラ出現とアンギラスとの死闘。後半をゴジラ撃滅といった構成である。

本作から架空の対ゴジラ兵器である24連装ロケット砲が登場。ゴジラへの人類の作戦と攻撃が描かれる。 © 1955 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

「暴龍」の肩書をもつアンギラス。ゴジラよりも巨大で、背中にトゲがついた甲羅をもつアンキロサウルスの怪獣だ。 © 1955 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.



数回のNGを出したという大阪城破壊シーン。二大怪獣の激突による破壊スペクタクルは本作ならではといえる。 © 1955 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

終戦から10年。戦時中、旧日本海軍にいた航空防衛隊員もゴジラに挑む。人間対ゴジラの戦いはここから始まった。 © 1955 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

物語は魚群探査機パイロットの月岡が、島に不時着した同僚・小林の救助に向かった際に、ゴジラと新たな大怪獣を目撃するところから始まる。直ちに大阪市警視庁は山根、田所両博士を招き、緊急会議を開く。

東京の惨事を知る山根は、水爆実験の記憶で光を憎悪するゴジラの性質を踏まえ、徹底した灯火管制を提案。しかしゴジラは大阪湾内に侵入し、新怪獣アンギラスまで上陸。ついに二大怪獣は大阪を蹂躙し、市街は猛火に包まれる。やがて舞台は北海道へと移り、月岡は航空防衛隊員となっていた戦友と再会。月岡と小林もゴジラ攻撃に参加する

特撮には東洋一の大型ステージ(500坪)が設けられ、大阪市街のミニチュアセットが綿密なロケハンのもとに組み立てられた。前作の経験から特殊技術は飛躍的な向上を遂げていたが、大阪城のミニチュアの破壊では、数回NGを出すこととなった。

また、真冬の撮影ながら、氷山のセットには、製氷業者から特注の氷が毎日50本用意された。中島春雄の演じるゴジラの着ぐるみもアクションを前提に新調。今回も何らかの形でゴジラを葬るというのではなく、氷の中に閉じこめる結末を選んだ。ゴジラの冷凍化がその後の復活に結びつくとは、この時まだ誰も想像しなかった。

1955年4月24日公開時のポスター。出演は小泉博、千秋実ほか。前作から同じ役柄の出演者は志村喬のみ。以降ゴジラの新作は、7年後まで待たなければならない。 © 1955 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

© 1955 TOHO CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

『ゴジラの逆襲』
1955年
絶妙なダークトーンのモノクロ映像が、怪獣対決シーンの迫力をさらに訴求。何度でも観たくなる、ゴジラシリーズの傑作。

TDV26143D
DVD¥2,500+税 発売中
発売・販売元:東宝

<Pen+(ペン・プラス)『完全保存版 ゴジラ、再び。』掲載>

【関連記事】『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』撮影現場で見た監督のこだわり

Pen+『完全保存版 ゴジラ、再び。』(CCCメディアハウス刊)1954年11月3日、日本が世界に誇る唯一無二のキャラクター、ゴジラが誕生した。東京湾から上陸したゴジラが銀座の街を破壊する圧倒的迫力に、観客は心を奪われた。その後、これまでに30作以上のゴジラ映画が製作され、シリーズ累計動員数も、日本だけで1億人を突破。2016年の『シン・ゴジラ』の大ヒットも、記憶に新しい。そして、ゴジラ生誕65周年となる今年、ハリウッド版ゴジラの最新作であり超大作、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』として、銀幕に再びゴジラが帰ってくる。ゴジラ、ラドン、モスラ、そしてキングギドラ――怪獣たちの壮絶なバトルに息をのむ。マイケル・ドハティ監督が、ゴジラ愛全開でつくった最新作紹介はもちろんのこと、誕生秘話から全作品解説、ライバル怪獣まで、ゴジラのすべてがわかる完全保存版。







『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
2019年5月31日(金)全国東宝系にて世界同時公開

出演:カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、サリー・ホーキンス、渡辺謙、チャン・ツィイー他
監督:マイケル・ドハティ
脚本:マイケル・ドハティ、ザック・シールズ


金田益実

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