1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

対韓制裁、ほくそ笑む習近平

ニューズウィーク日本版 / 2019年7月7日 20時13分

そこで韓国に行きソウル大学にお願いしたところ、なんと、協力を断ったのである。協力した大学に関しては名前を伏せるという約束をしていたので、協力してくれた大学名に関しては公表しないが、断った大学名に関して公表しないという約束はしていないから、ここで初めてこの秘密を明かすことにする。

断った理由をソウル大学は明確に言ったわけではないが、断る過程から十分な察しはついた。

つまり、自信がないのだ。

万一にも国際比較において「ソウル大学が日中の他の一流大学に劣る」という結果が出るのが怖いのである。

愛国心の欠片(かけら)もない。



協力してくれたら大学名は出さないと言っているのだからいいではないかと思うのだが、ソウル大学が抜けることによって韓国全体の学力レベルが低くなることは心配しない。一般には韓国の一流大学と言えばソウル大学が入っていると国際社会は思うだろうから、ソウル大学が抜けた状態で韓国の平均値が出ると、ソウル大学にとっても不利に働くのではないかと説得したのだが、ウジウジとして首を縦に振らない。

彼等は自信がないだけでなく、愛国心もなければ、「よし、やってやるぞ!」といったチャレンジ精神もない。

ノーベル賞が良いか悪いかは別として、ノーベル賞的研究成果は、一般に失敗から生まれることが多く、失敗するか成功するかという「結果」など考えずに「これを見極めずにはいられない」という抑えがたい知的好奇心に駆られて研究に没頭するものだ。

そういった精神風土がソウル大学にはまるでなかった。こんな大学からノーベル賞受賞者など生まれるはずがないだろうと、あのとき実感した。

決して韓国や朝鮮民族を蔑視しているわけではない。

拙著『チャーズ 中国建国の残火』にも詳述したように、1948年晩秋、餓死体の上で野宿しながら食糧封鎖を受けた長春を脱出して辿り着いた延吉でありつけた食べ物の美味は生涯忘れられない。当時は7割以上が朝鮮族だった延吉では、右隣に住む金(キム)老人や左隣の住人、ヨンフィという少女と仲良くなった。ヨンフィは片目が濁り上唇が裂けていたが、飛び抜けた美声の持ち主で、ブリキのバケツの中に頭を突っ込んで天に向かって歌い上げ、私を感動させたものだ。ヨンフィとの間に育まれた、そこはかとない友情は今も私の胸を締め付ける。このように、民族蔑視などという気持は微塵もないことを明示しておく。

日本は、習近平を喜ばせていることに気付いているだろうか?

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください