対警察、対小売店に「愛国者」まで 香港デモに終わりは見えない
ニューズウィーク日本版 / 2019年7月22日 12時5分
警察を標的にしているグループもあれば、各地にいわゆる「レノンウォール」をつくる活動に力を注ぐグループもある。市内あちこちの壁を、団結と支援のメッセージが記されたメモで埋め尽くそうという活動だ。
賛否が分かれているのは、中国本土系の小売店を標的にした活動だ。中国本土の小売業者が本土と香港の境界付近の地区に出店し、本土の買い物客が好む商品を売るショッピング地区に変えてしまったため、地元住民は生活が不便になった。それに不満を持つ人も少なくない。
社会が熱を帯び続けるなか、香港政府は昔ながらの戦略を今回も実践している。公の場での対話を拒みつつ、デモ隊の暴力性を際立たせ、逆に警察側の行動を小さく見せようという戦略だ。この戦略は、中国政府寄りの企業が香港のメディアに大きな影響力を持っているため実行しやすい。
7月14日に沙田(シャティン)のショッピングモールでデモ隊と警察が衝突した後、香港政府は、治安の悪化に嫌気が差した世論がデモ隊に冷ややかになることを期待していたようだ。だが、今のところその思惑どおりにはいっていない。統治能力を発揮できない政府への風当たりは強いままだ。
この夏、香港は抵抗の季節を迎えることになりそうだ。それがいつどのように終わるかは、誰にも分からない。
<2019年7月30日号掲載>
※7月30日号(7月23日発売)は、「ファクトチェック文在寅」特集。日本が大嫌い? 学生運動上がりの頭でっかち? 日本に強硬な韓国世論が頼り? 日本と対峙して韓国経済を窮地に追い込むリベラル派大統領の知られざる経歴と思考回路に迫ります。
イラリア・マリア・サラ(香港在住ジャーナリスト)
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