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インバウンド消費拡大のカギを握るMICEとは

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月6日 11時10分

また、カジノの可及的速やかなオープンはMICEの誘致に直結するため、誘致強化の役割を担っているテーマである。特定複合観光施設区域整備法(IR整備法)が2018年7月に可決されたが、この法案の指すIR(Integrated Resort:複合リゾート)とは、カジノの他ホテルやショッピング施設だけでなく、国際会議場や展示場などのMICE関連施設も含まれている。

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5 三大都市圏とは、埼玉、東京、千葉、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫の8都府県。それ以外の39道県を地方部とした
6 日本政府観光局(JNTO)「国際会議統計」より
7 筒井義信とチームみらい「未来がみえた!10人のメンバーがみた地域初「チーム力」」(2016年)



つまり、日本でのカジノの開始はすなわち新しい大型MICE施設の誕生を意味している。カジノの集客力による効果もあり、MICEの開催件数および訪日外国人数は増加することが確実視される。さらに、カジノの誕生によるナイトライフの充実で、一人当たりの消費額は一層増加することが見込まれる。長くカジノでの賭博行為が禁止されていた日本にとっては、今後の観光産業を盛り上げるための格好の起爆剤となる。

「我が国のMICE国際競争力の強化に向けて(提言)」では、MICE関連の訪日外国人消費額の目標として、2020年に3,000億円、2030年に8,000億円と設定されている。2016年の実績から目標達成へ必要な伸び率(年平均)は、それぞれ18.9%、12.7%であり、これは全体の訪日外国人消費額が政府目標の達成に必要な伸び率とあまり変わらない。今後は、観光目的よりもビジネス目的の訪日外国人の拡大が重要になることを考えると、MICE関連の訪日外国人消費額はこれ以上のペースで伸びる余地があるだろう。政府目標に向けて、MICEが大きなカギを握っているといえる。

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポートからの転載です。

[執筆者]
藤原 光汰 (ふじわら こうた)
ニッセイ基礎研究所
経済研究部 研究員

藤原 光汰(ニッセイ基礎研究所)


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