「政府は真実を隠している!」 UFOブームがアメリカに再び襲来
ニューズウィーク日本版 / 2019年8月2日 19時15分
NYTの記事が出る2カ月前、エリゾンドは国防総省を退職した。本誌は17年10月4日付の辞表の写しと称するものを見せられたが、そこにはプロジェクトへの関心の低さに対する不満が書かれていた。「機密レベルでもそれ以外でも圧倒的な証拠がある。わが軍に対する戦術的脅威、わが国の安全保障への実存的脅威になる可能性があるにもかかわらず、国防総省の一部はさらなる調査に根強く反対している」
エリゾンドが「証拠」の1つとして挙げるのは、04年の音声・動画ファイルだ。このファイルはNYTにリークされ(エリゾンドは自分ではないと主張している)、今ではUFO神話の重要な構成要素となっている。
2機のF/A18Fスーパーホーネット戦闘攻撃機がサンディエゴ沖の通常訓練で、後に報告書で「複数の特異な航空機械」と表現された物体の調査を指示された。パイロットは「機械」が高度6万フィート(約1万8000メートル)付近から50フィートまで瞬時に降下したと報告。パイロットの1人によれば、白いティックタック(カプセル形ミントキャンディー)のように見えたという。
UFO関連の市場は大きい
豊富な軍事的知識を持つアカデミーの人材はエリゾンドだけではない。クリントンとジョージ・W・ブッシュ大統領の時代に情報担当の国防次官補代理だったクリス・メロンも参加している。彼は当時、機密レベルが特に高い国防総省のプロジェクトを管掌していた。18年3月には、「相次ぐ軍とUFOとの遭遇──なぜ国防総省は注意を払わないのか?」と題した署名記事をワシントン・ポスト紙に投稿した。
ジム・セミバンはCIAの秘密調査部門に25年間所属していた。07年にCIAを退職し、設立後間もないアカデミーに加わった。「彼はスパイだ」と、デロングは17年11月のツイッターで自慢している。
アカデミーの共同創設者ハル・プトフは電気技師で、超能力に関するCIAと国防総省情報局(DIA)の研究に加わり、冒頭の国防総省の秘密プロジェクトで請負業者として働いていた。
アカデミーを立ち上げたのは17年10月だ。そのしばらく後、デロングはポッドキャスト配信者のジョー・ローガンのインタビューを受け、立ち上げに向けた準備は2年前から始まり、国防関係の高官や防衛産業関係者との秘密の会合を通してプランを練ってきたと語った(デロングは本誌の取材申し込みに応じなかった)。
この会合でデロングは、政府が宇宙人の死体を保管しているといった機密情報をいくつも耳にしたという。こうした真の情報を、ファンタジーやSFの制作を通して世間に伝える役に選ばれたのは、自分が有名人で若い世代に影響力があるからだと、彼は言う。
この記事に関連するニュース
-
航空宇宙・防衛産業に優位性持つ米アリゾナ州、防衛関連アクセラレーション施設開設など新たな動きも(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月1日 0時10分
-
UFO超党派議連設立、旗振り役の維新・浅川議員の「不思議体験」とは 石破氏、前原氏ら元閣僚議員も参加
よろず~ニュース / 2024年6月21日 7時30分
-
国際未確認飛行物体研究所設立3周年記念 「UFOの日千貫森まつり」を開催
PR TIMES / 2024年6月13日 16時45分
-
宇宙人の秘密が今年中に明らかに!? ロズウェル事件含め全ての情報公開を米政府に要求
よろず~ニュース / 2024年6月8日 22時0分
-
〝UFO議連〟設立総会 基調講演は元米国防次官補クリストファー・メロン氏
東スポWEB / 2024年6月6日 14時53分
ランキング
-
1「わが国には大きなリセットが必要」 英総選挙で労働党圧勝 スターマー首相が就任
産経ニュース / 2024年7月5日 21時30分
-
2シンベト元諜報員が非難 イスラエルの破壊者は「ネタニヤフ首相」
AFPBB News / 2024年7月5日 20時39分
-
3EU議長国のハンガリー首相が独断で訪露 ウクライナ支援の先行き懸念
産経ニュース / 2024年7月5日 22時55分
-
4焦点:ガザ戦後統治は誰が担うのか、イスラエルを悩ます難問
ロイター / 2024年7月5日 18時31分
-
5北朝鮮がウクライナに派兵の可能性…ロシア占領地域、プーチン氏が要請か
読売新聞 / 2024年7月6日 5時0分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください