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外食チェーンの海外進出、成功のカギは「8:2」の和魂洋才 くら寿司、全米展開の勝算

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月3日 11時37分

業界3位のはま寿司は、親会社ゼンショーホールディングスの持つ販路や流通網を生かして海外展開し、現在上海や台湾に店舗がある。ゼンショーは、アメリカを中心にカナダとオーストラリアでテークアウトのすし店を展開するアドバンスド・フレッシュ・コンセプツ(AFC)を約290億円で傘下に収めるなど、攻勢を強めている。「AFCとシナジー効果を発揮し、さらなる業容拡大を期待できる」と判断した。

4位のかっぱ寿司は韓国に店舗がある。業績不振を受け、14年に外食チェーン大手のコロワイドの傘下に入ったが、直近2年は黒字決算を維持している。





「海外重視」路線の背景にある日本市場の変化

大手回転ずしチェーンが海外を目指す背景には、国内の競争激化がある。

各業界に詳しい富士経済(東京)が2018年に発表した外食産業に関する調査結果によると、回転ずしの国内市場規模は17年に前年比4.5%増の6325億円となり、近年3~4%台で推移している。この拡大傾向は続くとみられ、22年には7435億円まで拡大すると予測される。同じく富士経済の調査結果では、すし市場全体の規模は17年に前年比1.3%増の1兆6912億円だった。回転ずし産業の成長率の高さやシェアの大きさが分かる。

ただ成長の裏では、1皿100円を切る、あるいは時間帯によって食べ放題にするといった低価格競争の下で、顧客の奪い合いが巻き起こっている。中にはウニやマグロなど、販売価格に占める材料費の比率「原価率」が50、60%を超え、採算ラインぎりぎりで提供しているネタもあるようだ。

業界1、2位のスシローとくら寿司はいずれも大阪発祥だが、首都圏を中心として近年急速に店舗網を拡大し、全国で鍔迫り合いを繰り広げている。後続のはま寿司やかっぱ寿司が負けじと食らい付いている構図だ。大手5社による市場シェアは全体の75%とも言われる。

一方、そうした大手各社の攻勢を受け、地方都市発祥のローカルな店舗が相次いで倒産の憂き目に遭っていた。調査会社の東京商工リサーチによると、2018年1~7月に、神奈川県を中心に「ジャンボおしどり寿司」を展開していた「エコー商事」や、福井県のプリーズ、富山県のエスワイケイなど6社が相次いで倒産、前年を上回るペースで「急増している」という。原材料となる魚介類の不漁などに伴う価格高騰や、人手不足を背景とした人件費上昇などが経営を圧迫したと分析しており、こうした要因は大手、中小を問わず収益の重しとなっている。

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