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「ポスト平成」におけるフランチャイズ化の行方

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月8日 14時0分

一つは、少子高齢化の影響である。東京圏への人口流入は、基本的には若者をはじめとする生産年齢人口の流入であり、これが地方の活力を奪う。東京都に神奈川県・千葉県・埼玉県を加えたエリアは、出生率で見る限りは少子化が他の地域より顕著なのだが、人口流入によってそれを補っている。とりもなおさず、それは東京圏以外で育った若者が移り住み、地方には高齢者のみが残されるということである。

価値観としてのフランチャイズ化にもかかわらず、とくに非大都市圏には雇用や高等教育の機会が十分にない。少なくない若者が、地方に住み続けたくともできないのが実情なのである。現在、地方創生の名の下に、大都市圏の大学の定員管理厳格化などが行われているが、たとえば「行きたい学部がない」といった状況が解決するわけではないので、その効果は限定的に止まらざるを得ない。

もう一つには、社会経済の活動単位と政治行政の活動単位が整合しないために政策が打ちづらい、あるいは政策の効果が表れにくいという問題、すなわち圏域問題が発生していることが指摘できよう。



政治面での地域政党の出現にせよ、行財政面での地方分権改革にせよ、その対象となったのは基本的に既存の都道府県や市町村であった。政策についても同様である。しかし、大都市圏においては都道府県の境界を超えた社会経済活動(たとえば、兵庫県に住みながら大阪府に通勤する)が珍しくなく、非大都市圏でも市町村の境界を超えることはごく一般的である。むしろ近年では、財政事情などから公立病院の広域利用化などが図られることも多く見られるようになっている。

社会経済の活動を政治行政の単位に押し込めることが全く現実的ではない以上、圏域問題を解決しようとすれば、政治行政の活動単位と政策の対象を広域化するか、あるいは活動ごと、政策ごとに単位を異ならせるしかない。

広域化の代表例が合併であり、市町村については既に試みられたが、成功であったという確信を抱く人は少ないようだ。都道府県の合併となると抵抗はいっそう大きく、実現は困難だといわざるをえない。

さしあたっての対応としては、政治行政の活動や政策対象の単位の柔軟化ということになるのだろう。柔軟化とは、都道府県や市町村といった単位にほぼすべての行政の活動や政策の対象を固定的に揃えてしまうのではなく、たとえば産業立地は近隣の複数の市町村が合同で推進する、人口の増加策は複数の府県が共同で企画する、といった動きを指す。

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