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「ポスト平成」におけるフランチャイズ化の行方

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月8日 14時0分

社会経済の活動ごとに成立している圏域について、それぞれに見合った政治的意思決定や行政活動の単位を柔軟に作り出せるかどうかが鍵を握る。

このような動きは、たとえば近畿圏の府県による「関西広域連合」など萌芽的には存在しているが、まだ実効性のある政策を打ち出すには至っていない。ゴミ処理について複数の市町村が作る「一部事務組合」のような古くからの手法もあるが、狭い範囲の行政事務に止まっている。

現状では柔軟化に二の足を踏む地方自治体が多いことを踏まえて、それを乗り越える理論的根拠や誘因を設定できるか。少子高齢化の悪影響をすべてはね返すのは難しいであろうが、将来展望に乏しい従来型の公共事業や場当たり的な政策を打つよりも、考える価値はあるように思われる。圏域問題にいかに取り組むかは、ポスト平成の時代における重要な政策課題である。

【参考記事】学術言語としての日本語
【参考記事】京都市の大胆な実験

待鳥聡史(Satoshi Machidori)
1971年生まれ。京都大学大学院法学研究科博士課程退学。博士(法学)。大阪大学大学院法学研究科助教授、京都大学大学院法学研究科助教授を経て、現職。専門は比較政治・アメリカ政治。著書に『財政再建と民主主義』(有斐閣)、『首相政治の制度分析』(千倉書房、サントリー学芸賞)など。

当記事は「アステイオン90」からの転載記事です。



『アステイオン90』
 特集「国家の再定義――立憲制130年」
 公益財団法人サントリー文化財団
 アステイオン編集委員会 編
 CCCメディアハウス



待鳥聡史(京都大学大学院法学研究科教授) ※アステイオン90より転載


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