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「下ネタは世界共通。男たちは同じオチで、同じ顔で笑う」早坂隆×パックン

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月9日 19時50分

それ以外だと、例えば宗教ジョークとかはどうですか。イスラム教徒とかは?

早坂 ありますよ、宗教ジョーク。イスラムの人も宗教ジョークを言うし、好きですね。

アラビア人の学生が大学受験をする。1問だけ、どうしても分からない問題があった。彼は困って、「答えはアラーのみぞ知る」と書いた。後日、合否の発表の手紙が届いた。見てみると「アラーは合格したが、あなたは不合格」。

パックン うまいねぇ。

早坂 僕はイラクに2002年、サダム・フセインの独裁体制だったころに行った。イラク戦争が03年だから、その前年に。その時はヨルダンから陸路で入ったが、国境からずっと役人が左右について自由に動けない。町の人たちも自由に政治的なことを言えるような国ではなかったけれど、それでも移動の車の中で、僕が「フセインのこと、どう思ってるの?」と聞くと、イラク人の役人が「いや、好きだよ」「本当に?」「100%好きだよ。いや、1000%」「本当はどうなの?」......「マイナス!」って言うんですよ。

パックン それ、日本だったら「100点!――1万点中で」とかいうやつ。

早坂 独裁国家だと体制からの圧力が強いので、体制を笑うジョークが出てくる。今の日本で体制を笑うジョークがあまりウケないのは、理由がある。安倍さんに不満がある人はいっぱいいる。多くの人はベストだと思っていなくて、消去法でベターという人が多いと思う。ただ、笑いは圧力や不満に対して生じるものだとすると、今の日本人では、安倍さんや自民党よりも、だらしない野党だったり官僚だったり――最近は「上級国民」なんて言葉も出てきているが――そういう人たちを笑いたいというネタのほうがSNSを見ていると多い。



パックン それもアメリカだったら、ジョークの形にできる感情が多い。例えば、「選挙活動中、安倍さんの再選につながる活動を野党が見せてくれました」みたいな。そういう皮肉ったフレーズがあるとジョークになる。でも日本では、あまりそういうものを聞かない。

早坂 聞かないですね。直接的な悪口の言い合いになりがちなので、そこがちょっとね。もっとユーモアを交えてやればいいのにと思いますけどね。与党でも野党でも、右でも左でも、ユーモアでやればいいなと。

パックン じゃあ、早坂さんも本の前書きに書いていたと思うけれど、ジョークというのは機転がきく頭のよさを見せるポイントでもある。紹介していたのは、ラテン語か何かだったかと思うけれど。

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