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イギリスが強硬離脱すれば、南北アイルランドは統合へ向かう

ニューズウィーク日本版 / 2019年8月13日 16時25分

こうした状況であればこそ、アイルランドの南北統合を求める声が増えている。

「北アイルランド住民の過半数は残留を選んだのに、それでもEUを追い出される。そういう事態だから流れが変わった」とクイーンズ大学ベルファスト校のハーベイは言う。「98年の和平合意はアイルランドの将来に関する住民投票の権利を認めている。今こそ私たちはその準備を始めるべきだ」

4月段階の調査によると、南側では有権者の62%前後が南北統合を支持。一方、北では3月の調査で45%が統合に反対し、賛成は32%にとどまった。ただし「分からない」という回答も23%あった。

「『分からない』派の多くが支持に転じたら僅差の勝負になる」とリバプール大学のトンジは言う。「離脱後に国境管理が厳しくなればなるほど、統合への支持が増えるだろう」

イギリスのボリス・ジョンソン首相は「合意なき離脱」に舵を切っているから、リアルな国境が復活する可能性は高い。それを見越して、アイルランドのレオ・バラッカー首相は7月26日の演説でこう言ったものだ。「皮肉なもので、強硬離脱を選べば(大ブリテンと北アイルランドの)連合王国の団結が揺らぎかねない」と。

そのとおり。トンジも言う。強硬離脱のシナリオは「連合王国の一体性に対する前例のない挑戦を招いている。北アイルランドだけでない。スコットランドやウェールズにも反発がある。30年後も連合王国が今の形で存続しているかと問われれば、極めて難しい問題だとしか答えようがない」。

From Foreign Policy Magazine

<本誌2019年8月13&20日号掲載>


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ジョナサン・ゴーベット(アイルランド在住ジャーナリスト)


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