本場スコットランドで味わう至高のスコッチ旅
ニューズウィーク日本版 / 2019年9月6日 20時0分
少量生産を維持したいと考えたレイニエとカフリンは、ビクトリア朝時代の歴史的な設備と倉庫を再整備。伝統の手作り生産にひとひねりを加えた。さまざまな種類の斬新な樽、特にワイン樽を使ってウイスキーを熟成したのだ(スコッチの熟成には通常、バーボンやシェリーの樽が使われる)。
この再建事業は大成功を収め、蒸留所は2012年に約7400万ドルでフランスの高級酒大手レミー・コアントローに売却された。買収後も少量生産を貫くという契約付きで──。
現在、ブルックラディは島で自治体に続く2番目の雇用主。泉の水や「土壌(ソイル)のゴッドファーザー」と呼ばれる地元農家ジェームス・ブラウンの大麦など、地元の産品を全て使う試みにも取り組んでいる。
ウイスキー・ウオークは、事前にウイスキーのことを少し勉強してから行くと、さらに楽しめる。私は蒸留所のアダム・ハナットにレクチャーを受けた。そこで学んだことは──。
ウイスキーの試飲はワインに似ているが、同じではない。テロワール(生育環境)、成分、果物や穀物をアルコールに変えるプロセス、味覚と香りといった類似点もあるが、ワインのテイスティングが口に含んで吐き出すのに対し、ウイスキーはそのまま飲み込むのだ。
スコッチは一気飲みや、何かと混ぜたり急いで飲むようにはできていない。ちびちびと口に入れたら、舌の上で風味が広がるのをゆっくりと味わう。そしてスムーズに喉を流れる、焼けるような感覚を楽しむのだ。
「最高のウイスキーはゆっくりと花開く。1秒置きに味覚が変わる」と、ハナットは言った。
そしてウイスキーはブランドごとに、たとえラベルが同じでも樽ごとに独自の風味がある。「アイラにはウイスキー作りの小さな生態系がいくつもある。全て手作業で、原料はほとんどがアイラ島のものなので、1回作るごとに違いが出る」と、ハナットは言った。
「ここの農家の大麦を使い、ここで蒸留して熟成し、ここでボトルに詰め、世界中に送る。私たちには、それが正しいことだという感覚がある」
私はその日、社名を冠した非ピート系の「ブルックラディ」と、ピートの香りが濃厚な「ポートシャーロット」を試してみた。どちらもフルーティーで、ほとんど桃のようだ。
「地元産」へのこだわり
そして世界で最も「ヘビー」なピート・ウイスキーと称する「オクトモア」は、予想よりも穏やかな味だった。口の中にピートのスモーク感が広がったが、喉にガツンとくるほどではない。これは......いける!
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