トランプ弾劾調査の引き金になった「ウクライナ疑惑」のすべて
ニューズウィーク日本版 / 2019年9月25日 18時0分
トランプ政権の反応
トランプは記者団に対し、自分は何も悪いことや違法なことはしていないと語ったが、ホワイトハウスはこの電話会議の議事録の提出に前向きではない。
ウクライナ側の電話内容の記録では、「ウクライナの新政府は、アメリカとの関係を阻害してきた腐敗事件の調査を速やかに完結させれば、アメリカのウクライナに対するイメージを迅速に改善することができるとドナルド・トランプは確信する」となっている。
23日の朝、電話について再度尋ねられたトランプは話をそらした。「ウクライナの大統領との電話会談はすばらしかった。それは誰もが知っていることだ。あとは民主党の魔女狩りにすぎない。同じことの繰り返しだ。ロシア疑惑で失敗し、景気回復に失敗し、すべてのことで失敗した」と、言った。
「問題を抱えているのはバイデンだ。バイデンがやったことを見ればわかる。バイデンは私にやらせたかったことをやったが、ひとつ問題があった。私はやらなかったということだ。バイデンがやったことも、彼の息子がやったことも恥さらしだ」
繰り返すが、バイデンとその息子が不正行為を行った証拠はない。
民主党の反応
彼らの心にあるのはたった一つの言葉──弾劾だ。
ナンシー・ペロシ米下院議長は24日、下院がトランプの正式な弾劾調査を開始すると発表した。
米下院情報特別委員会のアダム・シフ委員長も、ウクライナゲートの発覚で、気持ちが弾劾に傾いた、と語った。「トランプは、(ウクライナに電話する数日前に)ウクライナへの軍事支援を一時停止していた。もしそれが、ウクライナの大統領に、自分の政敵を陥れるための違法な何かをさせるための威嚇だったとしたら、その悪事に値する薬は弾劾だけだろう」
(翻訳:栗原紀子)
※10月1日号(9月25日発売)は、「2020 サバイバル日本戦略」特集。トランプ、プーチン、習近平、文在寅、金正恩......。世界は悪意と謀略だらけ。「カモネギ」日本が、仁義なき国際社会を生き抜くために知っておくべき7つのトリセツを提案する国際情勢特集です。河東哲夫(外交アナリスト)、シーラ・スミス(米外交問題評議会・日本研究員)、阿南友亮(東北大学法学研究科教授)、宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)らが寄稿。
ニコール・グッドカインド
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