中国建国70周年へのアメリカの姿勢と香港人権・民主主義法案
ニューズウィーク日本版 / 2019年9月30日 16時40分
アメリカは日本の安倍首相等による祝意表明と違い、駐米中国大使が祝辞を述べただけだ。それどころか米議会は「香港人権・民主主義法案」を可決。中国はアメリカを猛攻撃し、対日米の対比が鮮明になった。
アメリカからの祝辞
9月28日、中国の中央テレビ局CCTVはアメリカからの中国建国70周年記念への祝辞を報道した。しかし前日の安倍首相による祝賀ビデオメッセージをほぼ全文、長い時間をかけて報道したのとは対照的に、駐米中国大使・崔天凱氏の中国大使館(ワシントン)における録画が報道されただけだ。
CCTVが放映したのと同じ動画は「これ」をクリックなさると、ご覧いただくことができる。
祝賀セレモニーに参加したのは在米の華人華僑団体とアメリカの親中派関係者だけで、アメリカ政府関係者としては唯一、労働省の前次官Samuel Mok (莫天成)氏(華人)が出席し、崔天凱大使と歓談したり写真を撮ったりしている場面が映し出されただけだ。
莫天成は香港デモに関しては実に批判的で、北京政府のやり方を応援している。
8月22日に中国政府側の中新社の取材を受け、「香港は混乱状況を継続すべきではない」と主張している。接続が不安定だが、動画はこちらで見ることができる。
アメリカからの中国大使館における祝賀画面が終わると、ブルネイなどいくつかの国の中国大使館での祝賀セレモニーを放映したが、安倍首相の挨拶など日本からの祝賀メッセージ報道と違い、アメリカ同様、あくまでもその国における中国大使館でのセレモニーを放映したに過ぎない。
その国の首脳が大写しになってビデオメッセージを発信したのは、日本だけだったということになる。
続けてアメリカ批判――米議会「香港人権・民主主義法案」
安倍首相の満面の笑みを浮かべた祝賀メッセージの後に、27日のCCTVはトランプ大統領の弾劾調査手続きに関する報道へと切り替えたが、28日は、駐米中国大使の祝賀メッセージの後に、米議会上下両院の外交委員会が「香港人権・民主主義法案」(以後、「法案」)を可決したことを、突如厳しい表情で報道した。
「法案」は6月に提議されたもので、9月26日に米議会上下両院の外交委員会において全会一致で可決された。
アメリカは米中国交正常化の時も、「中華民国」との断交を北京政府から強要されたため、やむなく断交と同時に国内法で「台湾関係法」を制定している。
同じように香港がイギリスから中国に返還されると同時に(1997年7月1日)、国内法として「米国・香港政策法」を制定した。香港が「一国二制度」の下で中国に返還されたのちも、本当に「二制度」により「民主や自由や香港の自治」が守られているなら、これまで通り通商や投資においてアメリカの対香港優遇措置を続けるとしている。
この記事に関連するニュース
-
日本車メーカーの「ドル箱市場」を中国EVが侵食…「世界一の自動車大国」の座を奪われた日本がやるべきこと
プレジデントオンライン / 2024年7月4日 7時15分
-
中国返還から27年の香港、今年も民主派デモなし…親中派は愛国を盛んにアピール
読売新聞 / 2024年7月2日 6時45分
-
5つの独立運動に包囲された中国に「スイスモデル」という解決策
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月1日 16時1分
-
日本の主権を侵害する香港当局を政府は許すのか 香港の民主・人権活動家が日本に向かわない3つの理由
東洋経済オンライン / 2024年6月27日 12時0分
-
もし、トランプ氏が大統領選で当選したら 何が起きると考えますか? 答える人 上智大学総合グローバル学部教授 前嶋和弘
財界オンライン / 2024年6月13日 20時0分
ランキング
-
1バイデン氏“撤退検討”米紙報じる… 民主下院議員25人も撤退要求準備か トランプ氏の対抗馬にハリス副大統領が急浮上【news23】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月5日 11時11分
-
2ウクライナ、東部ドネツク州で激戦地から撤退…ロシア攻撃で「防衛陣地が破壊されたため」
読売新聞 / 2024年7月5日 10時45分
-
3スターマー氏、首相就任=労働党が地滑り的勝利―14年ぶり政権交代・英総選挙
時事通信 / 2024年7月5日 22時6分
-
4米兵事件に遺憾表明 エマニュエル駐日米大使「地域社会に透明性保つ必要ある」
産経ニュース / 2024年7月5日 15時50分
-
5焦点:ガザ戦後統治は誰が担うのか、イスラエルを悩ます難問
ロイター / 2024年7月5日 18時31分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください