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東京には本当に「地域」がないのか?...サントリー地域文化賞選考委員座談会(中)

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月20日 10時42分

御厨 ああ、墨堤がね。

佐々木 東京はそういう文化を強烈に残していて、戦後詩の大事な作品の中にもそういうものが包まれてずっとある。東京で地域文化を探すときには、そういう視点も必要だと思いますね。

エネルギーを感じさせる土地とそうでない土地というものがあるとしたら、東京は余りにも全国共通になり、それが薄められちゃった。でも、ひだのようなところに濃密にたまっている地域文化はあると思います。

御厨 まあ、東京といえば、神奈川もそうですよね。それに同じ視点で見ていくと、関西―京阪神でも都市化で薄められたものを発掘する。そこに地域文化が見えてくる契機はあるような気がしますね。

※第3回:コロナは「地方」と地域文化に影響を与えた...サントリー地域文化賞選考委員座談会(下)に続く

[注]
(2) 年4回発行のサントリーのPR誌。1979年〜2009年発行。
(3) 2000年 高知県香南市 土佐絵金歌舞伎伝承会│地元に伝わる絵金の屏風絵に描かれた歌舞伎の演目を住民が演じる
(4) 2017年 徳島県徳島市 阿波木偶箱まわし保存会│消滅の危機にあった貴重な伝統芸能を継承、調査・研究と普及活動を展開
(5) 2017年 岡山県新見市 新見庄たたら学習実行委員会│中世たたら製鉄を市民参加で再現し、地域のものづくり文化を学習
(6) ①1988年 東京都墨田区 下町タイムス社│ミニ・タウン紙発行を軸とした下町文化再発見と活性化の試み
   ②1992年 東京都文京区 谷根千工房│地域雑誌の刊行を中心に、地域の歴史と文化を掘り起こすコミュニティ活動
   ③2004年 東京都武蔵野市 武蔵野中央公園 紙飛行機を飛ばす会連合会│広大な原っぱのある公園に愛好家が集い、紙飛行機を通じたコミュニティを形成
   ④2022年 東京都武蔵野市 生態工房│各地の「かいぼり」を支援し、地域住民による豊かな水辺再生を先導

御厨貴(Takashi Mikuriya)
1951年生まれ。東京大学先端科学技術研究センターフェロー、東京大学名誉教授。東京大学法学部卒業。専門は近代日本政治史、オーラル・ヒストリー。東京大学先端科学技術研究センター教授などを歴任。「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」座長代理。TBS『時事放談』司会者でもあった。著書に『平成風雲録』(文藝春秋)、編著に『天皇退位何が論じられたのか──おことばから大嘗祭まで』(中公選書)、『舞台をまわす、舞台がまわる──山崎正和オーラルヒストリー』(中央公論新社)、『天皇の近代』(千倉書房)など多数。2018年紫綬褒章受章。

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