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地方自治体がなぜ名産品をNFT化するのか──ブロックチェーンが可能にした地方活性化と「ファン集め」の挑戦

ニューズウィーク日本版 / 2023年9月13日 10時25分

山古志地域は、2004年の新潟県中越地震で甚大な被害を受け、現人口は約800人、65歳以上の高齢化率が55%超という、雪深い限界集落だ。

図7 Colored Carp 提供:長岡市山古志支所

図8 Generative patterns〝NISHIKIGOI〞 提供:長岡市山古志支所

こうした厳しい状況にあって、山古志住民会議は地域の存続・復興をかけた様々な活動に取り組んできた。そして山古志発祥の錦鯉をシンボルにしたデジタルアートをNFTにし、2021年12月(図7)と2022年3月(図8)に世界に向けて販売した。

山古志住民会議のNFTは、ふるさと納税制度とは関係なく、販売先は国内に限らない。

公式サイトでは山古志地域の紹介、NFT発行の背景や趣旨などを英文で発信し、世界の人々に向けて理解・共感を訴えており、NFTを地域再生の取組みに必要な資金の調達手段としてだけでなく、山古志への共感者、仲間の証と位置付けている。

NFTの保有者には、調達した資金を活用した復興・活性化プランを提案する権利やデジタル投票によるプランの採否決定に参加する権利等も付している。

インターネットは、本来、国境に囚われないコミュニケーションツールだ。ハッキングやフェイクニュースなどではなく、山古志のような好活用事例が今後も様々に輩出されていくことを期待したい。

杉浦俊彦(Toshihiko Sugiura)
1966年生まれ。東京大学経済学部卒業。日本銀行に入行。決済機構局参事役、業務局総務課長、高知支店長、金融機構局上席考査役、同局金融高度化センター長などを経て、2022年4月にSBI金融経済研究所(株)・研究主幹に就任。2023年4月に(株)格付投資情報センター・執行役員に就任。

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